EVとしての特性をうまく生かせば思いのほかイケる!!
充電容量は計器板に表示されるSOC(残容量)メーターに頼って計測。オドメーターが1305㎞の試験車両は、出発時の残量計が99%を示していた。緑色に光る全10個のブロックが円形状に連なるほぼ満タン状態。
すでにエアコンをフル稼働させ、仕業点検などに時間を費やしていたが、それも実用消費のうち。今回のテストでエコランをするつもりは毛頭ない。ご存じの通り、燃(電)費は運転方法で大きく左右される。本来なら路線運行を模試してみたいが現実的にそれは難しい。
また電欠で立ち往生させるわけにはいかないので、常に電力消費具合をチェックしつつ、最悪の場合はパーキングなどでの充電を想定し、発電機はトラック、充電器は専用の防振パレットに載せて精密機械運搬用トレーラーで搬送。さらに先導車も含めた万全の体制で臨んだ。
まず77kmの走行で足柄SAに到着。ブロック表示の3 個が消え、残量は67%。ここまでの1%当たり走行距離は2.4km。つまり航続距離は240kmと算出できた。
しかし次の西湖では走行118kmで残量は58%。ブロック表示は6個が点灯。1%当たり走行距離は2.81km。航続距離は281kmと算出。そして下り坂も多くなる帰路の談合坂SAでは、211kmの走行で残量は25%。点灯ブロックは3個となった。1%当たり走行距離はほとんど変化なく安定した。
実はここで充電が必要になると読んでいたが、思わぬ高燃(電)費率を踏まえ、充電せずに走りきることに予定変更。皆未体験ゾーンへの突入に緊張は高まるが、中央高速の上り線は下り坂になること、そしてこれまでも回生充電の働きで充電残量が増えることがあることも実感し、無駄の少ない走り方も理解できた上での判断。
最終結果は、全257kmを走行し、残量は15%だった。ブロック2個は20%の時点で緑から赤色表示になり、エアコンは自動停止。最終的に1%当たりの走行距離は3.02km。つまり航続距離はほとんどエアコン稼動でも約300km走れるという結果だった。諸元値を超える好データには正直驚かされた。
力強い走りを、穏やかに運転制御しやすいEVバスによるこの結果は路線バスのニーズを賄うに十分な性能であることが証明された。
バスマガジンVol107は発売日が変更になりました! 最新号は5月31日発売です! ぜひ書店等でお買い求めください!