西鉄グループは運行する高速バス5路線において2021年7月1日(木)より運賃の値上げを行う。
新型コロナウイルス感染症の影響による旅客減少で、収支改善を図り路線を維持することを目的として、一部路線の片道運賃を値上げし、同時に各種割引乗車券や企画乗車券の値上げを実施する。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】西鉄グループ高速バスが7月1日から運賃改定
運賃改定は5路線
今回の運賃値上げは次の5路線である。
対象路線
①福岡~大分 線
②福岡~湯布院 線
③福岡~別府 線
④福岡~日田 線
⑤福岡~黒川温泉 線
いずれの路線も福岡発着路線で本州や北九州地区にかかるものは含まれていない。
鉄道競合区間は据え置きも!
主要区間をみてみると、特に利用客が多いと思われる福岡-別府・大分線において、福岡-大分、福岡-別府北浜間の運賃は変更がない。同区間は鉄道との競争が激しく、鉄道が鹿児島・日豊本線を遠回りで経由するが圧倒的なスピードを誇るのに対して、スピードは鉄道よりも劣るが福岡からほぼ直行で別府・大分に走ることができる高速バスは距離が短い分鉄道に対してアドバンテージがあり、トータルの所要時間(博多・天神-大分間)ではバスが15分程度遅く普通運賃・料金での比較では1900円も安いので、十分に競争が成り立つ区間だ。
一方、福岡-湯布院・別府湾APU・日田・黒川温泉等の区間で110円から320円の値上げが実施される。こちらは鉄道とはあまり競合しない区間でどちらかというとバス有利な区間だ。
また普通運賃とは別に回数券(往復に利用できる2枚や4枚)の運賃も改定されるが、こちらも片道運賃と同様で福岡-別府・大分間の一部券種では変更がない。
旅客減少だけではない深刻な事情も
新型コロナウイルスまん延による旅客減少でどこのバス会社も疲弊しているが、それでも公共交通機関としての便数や利便性の確保に努めているはずだ。ただ、それらに加えてバス業界には深刻な運転手不足という事情も見え隠れする。一刻も早く安くて快適なバス旅が戻ってくることを祈るばかりだ。