東京都交通局(都営バス)では7月31日までの期間中、東京バス協会や他のバス事業者と連携して「車内事故防止キャンペーン」を実施している。昨今、バス車内転倒事故が多発する中で再度事故防止のために内容を確認しておきたい。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】バス車内での転倒を防ぐための「車内事故防止キャンペーン」を実施
降車時は扉が開いてから席を立つこと!!
バス事業者ではより一層の安全運転を心掛け、ゆとり乗降の啓発及びゆとり運転の励行に努めている。しかし、他の自動車や歩行者が通行する道路を走るために、やむを得ず急ブレーキを掛けることはあり得る。
転倒等の思わぬ事故やけがを防止するため、降車の際にはバスが停留所に着いて完全に停車してから席を立つことが重要とされる。 また立席の場合は、つり革や手すりにつかまることは言うまでもない。スマホを操作するために両手がふさがっている状態は特に危険だ。
記者も大型二種免許を持っているが、教習中に教官がペットボトルをバス最後尾の床面に置き、倒さずに発車・運転・停車を行う訓練をされたことがある。
それほどシビアな運転を要求されるものかとおどろいたが、飛び出しや割り込みがあると交通事故防止を優先してしまうため、やむを得ずブレーキをいっぱいに踏んでしまうことはある。
その際に車内の乗客が転倒するのを未然に防ぐためには停車するまで確実に着席してもらい、あるいは手すりにつかまってもらうことだ。突発的な急ブレーキには老若男女は関係ない。
お互いに気を付けて車内事故を徹底的に防止しよう!!
ところでバス事業者(運転手)が徹底している安全に関する実施事項とはどのようなものだろうか。「ゆとり乗降の啓発」はバスが停車してから離席することを乗客にお願いすることで、都営バスに乗車していても運転手がバス停に停車する前に声を掛けている姿はよく目にする。
「ゆとり運転の励行」は、着席可能な乗客が着席してから発車し車間距離を確保することである。特に高齢者には「座ってください」と声を掛けたり、確実に着席を確認してから発車する旨を伝えてバスをスタートさせる。また急ブレーキを防止するために車間距離を確保することは当然である。
また観光バスでは、「乗客へのシートベルト着用案内を徹底する」ことがある。これは現在では法律上の要請でもあるので、観光バスに限らず高速バスに乗車しても同様の案内がなされる。
事故は交通事故にせよ車内事故にせよ、起こそうと思って発生するものではない。事業者も乗客も双方がほんの少し注意するだけで劇的に車内事故は減る。
起こった車内事故で得をする人はだれもいないので、当たり前のことなのかもしれないが、バス乗車時には再度認識して安全な移動を心掛けたい。