都営バスの「秋26」系統に乗車したのでレポートする。この路線は都営バス臨海支所が所管する路線では長距離に分類されるおよそ12km、約1時間のバス旅だ。今回は葛西駅前から西行きの秋葉原駅前まで乗車した。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】臨海支所の長距離路線「秋26」に乗ってみたらSORAが来た!
臨海支所の所管路線では長距離の「秋26」
「秋26」系統は都営バス江戸川営業所臨海支所が所管する路線の中では比較的長い距離を走る路線である。ちなみに都営バスの「営業所」と名乗るところは東京都交通局直営であり、「支所」を名乗るもののうち、早稲田営業所青梅支所を除く支所はすべて「はとバス」に委託されて運行している。
秋26は葛西駅前と秋葉原駅前を結ぶ路線で、途中で地下鉄駅と接続はしているものの、ほぼ全線にわたり鉄道空白地帯を走り、江戸川区・江東区と中央区を走る。都営新宿線と東京メトロ東西線の間を補完するように走り、走行距離はおよそ12kmだが全線を乗り通せばほぼ1時間のバス旅だ。
記者は江戸川区側の始発地である葛西駅前に行くのに、一之江駅前からまず都営バスで向かう。江戸川営業所のP431日産ディーゼル・西日本車体工業製のスペースランナーに乗車。西工製のバスは都営バスにはまだ多くあるが、車齢が経過しているので見かけたら乗っておきたい。
葛西駅前に到着すると、すでに駅前ターミナル所定の位置に秋26が到着していた。このバスが折り返しで秋葉原駅前行きになる。トヨタ・J-BusのSORA、つまり燃料電池車が入っていた。真っ黒い車体に白とブルーの帯が目新しい。
燃料電池車の得意技はスタートダッシュ?
止まっていたのは臨海支所のE134だ。乗務員の休憩時間もあるので到着後すぐに乗車できるわけではないが、おおむね発車時刻の数分前にはドアが開き乗車できる。エンジンはないので当たり前だが停車中でもエンジン音はせず非常に静かだ。
発車時刻になり秋26はターミナルを出て、まずは環七通りを北に向けて走り出す。燃料電池車は水素と水の電気分解の反対の化学反応を利用して自ら発電する。
その電力をバッテリーに充電してモーターを駆動させて走る。モーターは回りはじめに最も電力を消費するので、一般的にモーターを使う電化製品はON/OFFを繰り返すよりも連続運転した方が消費電力は少ない。しかし内燃機関とは違い最初から最大トルクが発生するのでスタートダッシュに強い。
もちろん路線バスなので信号ダッシュを競うわけではないし急発進をするわけでもないが、バス停からの出発時にその威力を発揮する。非常に力強く連続的な加速はディーゼルエンジン車では味わえない体験だ。しかもその間にほとんど音はしない。