東京23区最長バス路線に昂る 特別区6区を跨ぐ60分のプチトリップで見えたこと


 日本一、都内一などなど、最長距離を誇る路線は常に注目される。なかなか外出がままならないこのご時世、遠出の旅行というのは難しいが、今回は東京23区内で最長距離の路線バスである、都営バス「王78」系統に往復フル乗車してみた。

文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:小野寺利右

【画像ギャラリー】東京都23区内最長距離路線「王78」でプチトリップ!


23区最長距離は18キロ強

 王78系統の特徴について少し述べておくと、新宿駅西口と王子駅前を環七通りを約4分の1周して結ぶ、18kmちょいの路線である。運賃は210円均一なので、終点まで乗っても隣の停留所で降りても同じだ。

 23区内最長距離といっても特別な路線ではなく、地域に密着した生活路線なのでいつでも乗ることが可能で、完乗するハードルは低い。他の地方でほぼ同距離の例を挙げると西鉄バス北九州の「1番」(小倉)砂津・折尾駅間だろうか。

王78系統・王子駅前行きは杉並支所A599が担当した

 今回は記者が前年度に務めた都営交通モニターで交通局から進呈された「都営まるごときっぷ」優待バージョンの期限が切れそうだったのでこれを使用した。記者は都営交通モニターに2回「当選」したことがあるが、モニター調査用や返礼品として都営まるごときっぷが進呈される。

 このきっぷは発売額700円のもので都営交通であれば都営バス・都営地下鉄・都電荒川線・日暮里舎人ライナーの全線に乗車できる1日乗車券である。

都営交通モニターで進呈された都営まるごときっぷ優待券

 23区内のバスだけであれば500円の1日乗車券もある。モニターで進呈される都営まるごときっぷには発売額の表示がないのと、「優待」の文字が入り、発行が「お客様サービス課」になる点がバス車内や駅自販機で購入するものとは違う。

 記者は都営地下鉄沿線に住んでいて、都営新宿線・都営大江戸線を乗り継いで王78系統の始発地最寄りの新宿西口駅までの運賃も込みになるので、購入した場合でもかなりお得になる。

4年前のモニターでは進呈された都営まるごときっぷは紙券だった(写真左)

 新宿駅西口のバスターミナルには地下から階段を使用してアクセスする。レーンごとに階段が設けられていて誤乗防止のために行先や発車時刻表が表示されているので「王78」を目指してホームに向かう。時刻表を確認して順番を待つ。次第にお客さんが増えてきて生活路線だということを実感させられる。

プラットホームに上がる階段には行先案内があるので間違うことはない

 本系統の担当は小滝橋営業所杉並支所の担当なので、運用に入る車両はいすゞエルガの可能性が最も高く、ほかは日野ブルーリボンシティハイブリッド、三菱ふそうエアロスター、スカニア・ボルグレンのフルフラットバスが同じ確率と言える。やってきたのは杉並支所の「D-A599」いすゞエルガだった。

小滝橋営業所杉並支所の路線図

 新宿西口を発車した王78系統はまずは青梅街道を西に走る。経路上には西新宿・中野坂上・新中野・東高円寺の各駅付近を通るので新宿以外でも広範囲にアクセスが可能だ。

 高円寺陸橋付近で環七通りに入るために右折する。本系統は始終着ターミナルの出入りで右左折する以外では2回しか交差点を曲がらない。その1回目が青梅街道から環七通りに入る当地である。

ほぼすべてのオーバーパスを快走する

 環七通りに入ると停留所の間隔が長くなり、幹線道路である環七通りには立体交差が多くなる。オーバーパスやアンダーパスがある幹線道路を走る路線バスは側道を走りそこにバス停があるケースが多いが、本系統は1カ所を除いて側道に停留所はない。

 したがってほぼすべての立体交差をオーバーパスで抜けるので信号が少ない経路と言える。

新宿を発車した時点ではまばらな乗客も入れ替わりが多いものの座席定員いっぱい程度にはなる

 よって幹線道路の交通の流れに乗ってキビキビ走る区間でもある。乗務員が席が空いている場合は着席を促し、着席してから発車するのはどの路線でも行われているが、特に環七通りを走行中は気を使っている様子だった。

所々に重複する系統や他社路線があるものの概ね毎時2-3本は確保されている

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