西鉄グループでは、株式会社スピナを主体とした、北九州市八幡東区平野地区において商業と住宅との複合開発を開始する。人口減少の一途をたどる北九州市復活の原動力となるのか、どのような開発なのかを探ってみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■そもそもスピナってなに?
スピナとは北九州市に本拠地を持つ西鉄グループの不動産業や運輸業を行う企業だ。かつては西鉄系の小売店舗である西鉄ストアを運営していた時期もあったため、西鉄ファンはご存じかもしれない。現在は経営分離しているが、いくつかの店舗はスピナブランドのまま営業している。
また運輸業については広大な敷地を持つ八幡製鉄所(現在の日本製鉄九州製鉄所)構内の従業員輸送を行っている。昔は西鉄本体が受託していたが、現在では同社が輸送を担当している。
かつて西鉄が運行していた時代も相当古いバスが充当され工場構内を行き来していたが、同社が受託してからは西鉄からの転属車の他にも関東地区のバス事業者から移籍した車両がそのままのカラーで走り、自由に工場内には立ち入れないのでいつでも見ることはできないまでも、バスファンにとっては隠れたバスの博物館だった。
■そして開発される八幡東区とは?
北九州市八幡東区平野地区において、スピナとして初めてとなる商業と住宅との複合開発を推し進めることで、地域の賑わい創出の一役を担いたい狙い。なお、住宅エリアの建築・販売については西日本鉄道・住宅事業本部が行う。
開発地区はJR鹿児島本線の八幡駅から南に約1kmの距離に位置し、幹線道路に面している。周辺は閑静な住宅街で、教育施設や公共機関もあることから、地域の方々や学生が日常的に足を運ぶことが可能な立地だ。
特に北九州市八幡東区は鹿児島本線や国道3号が通るごく狭い東西に延びる地域が平地で、その南側には北九州市の最高峰である皿倉山が迫る。皿倉山は東京スカイツリーとほぼ同じ高さだが、山なので山麓は広く多くの平地を工場地帯が占めるため、宅地として利用できる平地は少ない。
昔は働き盛りの若い工場地帯の従業員を中心とした労働者の街としてにぎわい、路面電車やバス、または自家用車で工場に通勤していたが工業地帯縮小により人口が流出、有効な対策を打てないまま現在に至る。
この期間で元から住んでいる人の高齢化が進み、特に坂が多い八幡東区の山麓は景色は抜群だが高齢者が住むのには困難な地域に変化した。
こうした中でなだらかな緩い坂だけで八幡駅に到達できる当地域は、日本新三大夜景として知られる皿倉山の麓に位置するロケーションであることから、商業エリアは仮称ではあるが「皿倉テラス」と命名された。
「日々の生活の中で、楽しさや美味しさやくつろぎに出逢える場所」をコンセプトに、皿倉山の景観をバックにした開放的でくつろげる空間づくりを目指している。
随所に緑を配置するほか、一部の屋外照明に太陽光発電設備を活用するなど環境にも配慮する。テナントについては飲食店のほか、ファッション関連の誘致を予定している。住宅エリアについては、72 区画の開発を予定しており、これから具体的な計画を進める模様だ。
■バス路線は実に豊富なのだ!!
正確な開発地の詳細は不明だが、最寄りバス停は祇園三丁目付近ではないかと思われる。ここは鹿児島本線の黒崎駅方面や同・戸畑駅方面へのバスが頻繁に走り、時刻表がなくても何とかなる路線沿いだ。
また八幡駅へは徒歩でも行けないことはないが、やはりバスが便利だろう。福岡市方面へは鹿児島本線を利用して博多駅に至る方法もあるが、八幡東消防署前や中央二丁目バス停まで路線バスで出れば、福岡・天神行きの高速バスが利用できる。
距離的には北九州高速の本線上バスストップである「高速皿倉山ケーブル」が近いが徒歩で至るのは、ほぼ急坂を登る「登山」に等しいので高齢者には難しい。福岡に行くのであれば一般道路上のバス停を利用したほうが無難だろう。
また、この付近からの夜景、特に皿倉山頂や都市高速道路からの眺望は素晴らしいが、平野地区から工場群を一望かといえばそこまで標高は高くないのでどうかといったところ。
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