東京海上ディーアールと西日本鉄道は、路線バスの車内転倒事故防止のため、VR技術を活用したバス運転者教育ツールを共同開発した。どのようなツールなのか具体的に見てみよう。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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■開発の背景
西鉄と東京海上ディーアールが開発した、VR技術を活用したバス運転者教育ツールは、 2024年4月より、東京海上日動の保険契約者であるバス事業者安全支援サービスとして提供を始め、その後、全国のバス事業者に対してしていく予定だ。
高齢化の進行を背景として、乗合バス車内における転倒事故が大きな問題になっている。国土交通省がバス等の事業用自動車における安全施策として掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」においては、乗合バスの車内事故は重要な問題として対策の方針が示されており、その一つに「バス運転者に対して停留所等発進時における安全基本動作の徹底を図る。」ことが挙げられてる。
その一方で、安全基本動作の一つである車内確認は、乗客の動向に合わせて行う必要があるため、実車両と乗客役を用いる等の実践的な状況での訓練が求められる。
■開発の経緯
東京海上ディーアールは開発パートナーのフィリットとともに2019年にVR技術を活用した乗用車向けの安全運転教育・支援システムを開発し、交通安全教育に取り組んできた。また、西鉄では、西鉄バス研修センターにおいて自社の運転者に対して安全教育を行うとともに、その教育ノウハウを他のバス事業者に広く提供し、バス業界全体の安全性向上に寄与してきた。
東京海上ディーアールは西鉄が持つ教育ノウハウを活かし、バスの停留所発進時の状況をVR空間に再現することによりヘッドマウントディスプレイ一つで実践的な状況での訓練を可能とする、バス運転者教育ツールの開発に着手し約1年の開発期間を経て完成させた。
■サービス概要
1.停留所発進時のバス車内をVRで再現し、バス運転者が行う指差呼称による確認動作についての訓練及び評価を行う。
2.学習者はHMDを装着し、仮想空間に再現されたバス車内の各ミラーの位置に表示されている的に対して、視線のカーソルと手持ちのコントローラーのカーソルを一定の時間合わせる動作を行ってマークをつける。 マークがついた的の数によって得点が算出され、学習者自身が確認動作を的確に行うことができたか振り返ることができる。
3.適切なタイミングでミラー上の的にマークをつける動作を繰り返し行うことで、指差呼称による確認動作の定着を図ることができる。
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