バスに関するニュースで最近多いのはやはり運転士不足とそれにともなう減便や路線廃止だろう。次いでバスに関する事故のニュースだ。公共交通機関は陸海空にそれぞれあるが、事故時の処理は異なる。何が違うのかをみてみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はイメージで本文とは関係ありません)
■民事責任と刑事責任は基本的に同じ
自己が発生して損害が出た場合の民事的な責任、つまり平たく言えば賠償責任は陸海空ともに同じだ。事業者が賠償するし、決着がつかなければ民事訴訟で解決される。
刑事責任についても同様で、警察や海上保安庁が必要な捜査をして、検察庁に送致する。その後は検察官が取り調べて適用される法律により裁判所に処罰を求めるために起訴するか、嫌疑不十分で不起訴にするか、起訴を猶予するのかを決める。
陸の場合は台数も違反件数も多すぎることから、軽微な違反については裁判を経る必要がある罰金刑以上(赤キップ)ではなく、違反を反則として通告することにより反則金の納付で済ませる(青キップ)制度で裁判所のリソースを圧迫しないようになっている。海や空ではこのような制度はないので、刑事罰を科す場合は(それが水上オートバイであっても)必ず裁判所が判決で言い渡す。
最終的な処罰は裁判所が決めるので確定すればその刑に服することになる。裁判は略式命令の場合もあるし、正式裁判が請求されることもある。刑事罰の問題は、被告人の処罰を求めるのが目的なので当然に防御権があり、自己に不利なことは話さなくてもよいし黙秘しても構わない。そうすると、事故の原因が特定しにくくなり、今後の安全に生かされるべき教訓が得られない可能性が残ることだ。
■行政処分は免許の問題
そして行政処分は陸だと運転免許を停止したり取り消したりという、いわゆる免停処分等をいうが、これは行政官庁である都道府県公安委員会(実際には都道府県警)が行う。違反点の累積点数が基準に達すれば免許停止や取り消し処分が行われる。点数は減点方式ではなく加算方式による累積点数だ。
免許人の不利益になる処分のため、長期免停と免許取り消し処分の場合は弁明のための聴聞手続きがある。本人が事情を話し弁明したり弁護士が意見を述べることもできる。これにより処分が軽減されることはあり得る。
次に海だが、小型船舶操縦士は陸の場合と同様に違反の累積点数により、または決められた重大な海難である場合と、大型船舶の海技士は決められた基準の海難の場合は、海難審判所が裁決により懲戒処分である一定期間の業務停止処分を行う。航空従事者は法令違反により国土交通大臣から技能証明の資格停止や取り消しの行政処分を受ける。
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