2022年バスに関するアレコレを振り返ってみる

2022年バスに関するアレコレを振り返ってみる

 2022年のバスに関する話題で印象に残ったことを挙げていく。バスファンの皆さんはどんなことが印象に残っただろうか。ファンでなくても普段からバスを利用する皆さまはバスに対してどんな印象をお持ちになっただろうか。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージです)

目立った事故の多さに驚愕!!

事故は起こそうと思って起きるわけではないのでシートベルトは必ず締めよう!
事故は起こそうと思って起きるわけではないのでシートベルトは必ず締めよう!

 やはり2022年で印象に残ったのは、残念ながらバスにかかわる事故の多さだった。原因はさまざまなので個別の詳細は省くが、どちらかというと人為的なミスによる事故が多かったように思える。

 公共交通機関としての信頼を取り戻すためにも事業者に課せられた責任は重いと言えるだろう。しかしながら、運転士の労働環境は人手不足の問題とともに根本的な対策が必要なことは論を待たない。

非常口の把握はしておこう!
非常口の把握はしておこう!

 方法はさまざまだが、賃金等待遇の改善だ。これを満足させるためには事業者の体力がなくてはならず、そのためには収益の源泉である運賃の値上げも視野に入るだろう。

 ただし、運転士の待遇改善とバス路線の維持という大義名分があると考えれば、社会一般の理解を得るために素直で丁寧な説明を重ねなければならないことは言うまでもない。

幼稚園バスの置き去り

 もっとも不幸な事故のうちの一つは、幼稚園バスにおける置き去りだった。ほとんどがヒューマンエラーによる確認不足からきていることは周知の事実だが、国としても義務化する置き去り防止装置のガイドラインを固めたことで、一層の普及が待たれる。

置き去り防止装置の一例(レゾナントシステムズのデモ機)
置き去り防止装置の一例(レゾナントシステムズのデモ機)

 しかし、根本的な解決は運転士による車内の確認を徹底させることだ。それを行わないと警報が切れない物理的な装置を設置する方向なので、問題解決の一助にはなるだろうが、ヒューマンエラーを根絶する解決にはなり得ない。

 幼稚園の管理体制や、運転士の注意力やプロ意識の徹底も同時に必要な取り組みなのだろう。

路線の縮小と開設が多かった

 コロナにおける人の動きが鈍くなったことにともなうバス路線の休止や減便、そのまま廃止という事例も多かった。表向きの原因は確かにコロナには違いはないのだが、実際には運転士不足である場合が多いように思えた。

 日常の通勤や通学の足として利用される路線バスはほとんど手が付けられず、他の交通機関で代替がきく高速路線を中心に減便や休止が実施された。またその後、便数が戻らず廃止された路線もある。

 一方で、新規路線も決して多くはないものの、開設されたのは事実である。最近の新規路線の特徴として、特に大都市からの短距離路線は「お試し開設」の傾向が強いように感じる。

 対大都市路線は周辺の中小都市にとっては念願の直結交通機関だが、収益が見込めるかどうかが不明で運転士不足に悩まされるバス事業者が簡単に路線を開設するとは思えない。

高速路線を中心に減便や縮小が相次いだ(写真はイメージで記事とは関係ありません)
高速路線を中心に減便や縮小が相次いだ(写真はイメージで記事とは関係ありません)

 すべての路線でそうだとは言わないが、地方都市側が補助金を支出して路線開設をうながし、それに乗っかる形で収益を確保しようという図式である。それ自体は悪いことではなく、需要喚起や新たな移動手段の提供という観点で歓迎されるべきことなのだ。

 しかし補助金ありきでは事業者が集客努力をせずに改善が行われないケースも目立った。その結果として1年足らずで休止または廃止となった路線もある。

 これでは地方の利用者にとっても自治体にとっても事業者にとっても健全とは言えず、お試し開設も考え物だという結論にならないように利用者重視の路線やダイヤ設定を熟慮する必要があるのだろう。

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