「乗客が多ければ儲かる」とは限らない!? 意外と複雑な都バスの収益構造


 東京都交通局が「東京都交通局2021経営レポート」をまとめた。このうち都営バスについて以前に系統別の損益についてのランキング記事を書いたが、今回は損益は無視して純粋な乗車人員についてと、営業係数についてみてみる。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

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乗車が多いイコールもうかるではない

 幹線路線であるほどバスの乗車人員が多いのは当たり前で、便数も当然ながら多い。しかし便数が多くなるとバスの台数も多くなり運転士の人件費もかかるので、単純に乗車が多いからもうかるわけではないのは、損益の記事で述べた通りだ。

都営バス・早稲田営業所

 しかし本稿では、損益は無視してまずは系統別の乗車人員について注目してみる。当然ながら便数が多い大幹線ほど多くなる。予想の準備はよろしいだろうか。

損益で上位と下位がワンツー

 第1位は損益でも第3位にランクインした「都07」系統「 錦糸町駅前~門前仲町」で、18328人/日だった。錦糸町駅前から京葉道路を亀戸駅通りまで走り、明治通りを南に走り、都営新宿線の西大島駅前を経由し江東運転免許試験場前や東西線の東陽町駅前を通り、永代通りを門前仲町まで走る超ドル箱路線だ。

都営バス(イメージ)

 錦糸町から試験場や東陽町駅までの間でほとんどの乗車をたたき出すので、残余区間はごくわずかだ。運行効率は極めて高いと言えよう。平日7時台の錦糸町駅前発は16本(平均3.75分に1本)も運行されるバケモノ路線だ。

乗車人員と損益はあまり関係がない?

 第2位は損益ではワースト11位(119位)だった「王40」系統「池袋駅東口~西新井駅前」で、18178人/日だった。池袋駅東口から王子駅を経由して東武伊勢崎線の西新井駅を結ぶルートは、王子駅までは都電荒川線に近づくようなルートで明治通りを北上する。

都営バス(イメージ)

 隅田川の北側を走り、隅田川・荒川を渡り日暮里舎人ライナーと交差して厄除けで有名な西新井大師を経由して西新井駅に到着する。鉄道駅間のルート上は鉄道空白地帯でバスに頼るしかない区間も多い。

 第3位でも都市新バスが登場する。損益では113位と下から数えた方が早かった「都02」系統「大塚駅前~錦糸町駅前」が15923人/日で第3位にランクイン。区間便や支線系統もあるが、平日7時台(平均4分毎)の大塚駅前発は15本もあるこちらも大幹線だ。

ダントツで乗車が少ない系統は?

 一方で、乗車人員の少ない方から見てみると、運行が限定的な路線が目立つのは仕方がない。このうちダントツで乗車人員の少なさで目立つのは「直行02」系統「豊海水産埠頭~東京駅八重洲口」で、63人/日だったが、損益では9位にランクインしている。

都営バス(イメージ)

 本系統は「都04」系統の急行版ともいえるが、別系統として計上されている。9位でもギリギリ赤字なのだが、この系統は平日の朝に4便しかなく、しかも豊海水産埠頭からの一方向のみの運行だ。直行02は埠頭で働く方の通勤(退勤)路線だ。

営業係数は?

 直行02系統の損益額自体は若干の赤字にとどまっているが、営業係数は266と全路線のうちワースト2位だ。便数が少ないので経費も少なく損益自体は目立たないが、営業係数となると途端に悪くなる。

都営バス(イメージ)

 ちなみに営業係数とは100円の収入を得るのにいくらかかるかという指標で、当然ながら100を切れば黒字だ。直行02系統は全路線中で赤字額としては最も小さいものの、100円の収入を得るのに266円もかかってしまう。

 営業係数という言葉がもてはやされたのは国鉄末期の赤字路線を論じていた時代で、最も営業係数が悪かったのは統計年代にもよるが福岡県の典型的な炭鉱路線であった添田線が4000近い営業係数をはじいてしまった事例がある。

次ページは : 営業係数ワースト1位は?

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