佐賀で自動運転バスの運行実証を実施! 運転士不足問題はマジで解決するのか?

佐賀で自動運転バスの運行実証を実施! 運転士不足問題はマジで解決するのか?

 建設技術研究所と先進モビリティは、佐賀駅バスセンターからSAGAサンライズパークバス停間において、自動運転バスの運行実証を実施する。各地で自動運転バスの実証実験は行われているが、その背景や目的または課題についてみていきたい。

文:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■背景と目的

自動運転実証実験のチラシ
自動運転実証実験のチラシ

 佐賀県と佐賀市では、SAGAサンライズパーク及びその周辺を先進的なモデルエリアとして、先進テクノロジーの活用を進めることにより、地域課題を解決し住民が快適に暮らせる社会づくりを目指している。

 近年は人口減少や少子・高齢化の影響により、深刻なバス運転手不足になっていて、「住民の身近な移動手段の維持」や「新たな移動ニーズへの対応」が困難な状況となっている。こうした社会課題を解決するため、佐賀県と佐賀市が共同で自動運転バスの社会実装に向けた取り組みを行う。

 2023年度には、佐賀駅サンライズ口(北口)付近から、SAGAサンライズパークまでの区間において、自動運転バス(自動運転レベル2)での走行を検証するとともに乗車体験会を開催し、社会受容性の確認を行った。

 今回の事業においては、2社の連携により、自動運転レベル4を想定した走行を検証する。既存のバスセンターやバス停留所の活用、信号機と連携した自動運転バスの走行「道路インフラ連携」などの実用に近い運行も検証する。こうした取り組みで自動運転バスを活用した運行の実現(社会実装)のための取り組みに必要な事項をまとめた実用化計画の作成を行う。

■自動運転バスの運行実証の概要

東京都庁付近で行われた京王バスの実証例(記者撮影)
東京都庁付近で行われた京王バスの実証例(記者撮影)

 運行期間は2024年10月7日(月)から14日(月)/21日(月)~25日(金)/27日(日)で、運行エリアは佐賀駅バスセンター(6番乗り場)~SAGAサンライズパーク(市文化会館前)バス停。

 運行時間は、平日は9時40分~11時25分/13時10分~15時55分で、休日は9時40分~11時25分/13時15分~17時00分。概ね30分に1本を運行する。運行車両はBYD社J6をベースとした自動運転EVバスである。

■利用方法や課題

岐阜市での実証例(写真:東出真)
岐阜市での実証例(写真:東出真)

 乗車には予約が必要で、予約は先着順。前日までに予約をしておらず、当日乗車希望の場合は乗り場(佐賀駅バスセンター6番乗り場、SAGAサンライズパーク(市文化会館前)バス停)まで直接出向き、乗員数に空きがある場合は乗車することができる。

天候等により運休となる場合がある。また、国スポの開催状況によりダイヤ変更となる可能性がある。また、乗車後のアンケートに協力した欲しいとのことだ。

■まだまだ課題が山積?

四日市市での実証例(写真:東出真)
四日市市での実証例(写真:東出真)

 自動運転レベル4とは、すべての運転操作を自動運転システムが行い、運転者は乗車していない、もしくは非運転操作(運賃収受など)を担う乗務員が乗車している(特定条件下に限る)となっており、とにかく運転士が乗務していない状態である。これでは運転士が不要なため、運転士不足問題は解決しそうに見える。

 しかし、実際に路線バスとして運行するには、運賃収受のためのいわば車掌が乗務する必要があり、運転士は不要でも人手は必要だ。運賃収受をオンライン決済に限り、完全予約制にしてQRコード等での認証にすれば乗務員は不要になる。しかしこれでは路線バスとしての機能が半減し、通勤・通学の足としては程遠いバスになるだろう。

 もっとも、コミュニティバス程度の乗車密度で運行するのであれば、乗車方法が周知徹底されることを前提とすれば素晴らしい地域の交通機関になるだろう。どのバスも運転士不要という時代はまだ遠いだろうが、高速であろうが夜行であろうが、コミュニティバスであろうが一人の運転士は必要だ。

 可能なバスから無人の自動運転に切り替えていくというスタンスであれば、社会実験の成果が近い将来、成果として現れるのではないだろうか。

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