常に究極の選択を迫られている運転士からのお願い[座って! つかまって!]お願いしますよマジで!!

■誰にも言わない究極の選択!

運転士の目線ではバス直前の数メートルはまったく見えないので降車後の直前横断はやめて!
運転士の目線ではバス直前の数メートルはまったく見えないので降車後の直前横断はやめて!

 運転士は事故の際に究極の選択をするしかない、つらい立場なのを理解していただきたい。目の前に自転車や歩行者の飛び出しがあった場合、急ブレーキで止めれば車外の交通事故は回避できる。

 しかしそんな急ブレーキを踏めば、車内では確実に誰かが吹っ飛ばされて車内事故が起こる。sて、ここで選択である。車外での交通事故を未然に回避するか、車内事故を防止するためにブレーキの踏み具合を考慮しつつどちらにしても人身事故なので車外事故には目をつぶるか。

乗用車やタクシーが突然出てくる六本木ヒルズ内を運転する記者
乗用車やタクシーが突然出てくる六本木ヒルズ内を運転する記者

 どちらかの事故は回避できないのであれば、そのような究極の選択をしなければならないのも運転士だということを知っておいていただきたい。

 もちろん運転士がそのようなことを人に言うわけはないし、聞いても答えてはくれない。それはそれで辛い立場なので、本当に車内事故防止には協力していただきたいのが本音だ。

■スピードは関係ない!

左確認をして左折する記者
左確認をして左折する記者

 時速40kmからの急ブレーキでも、時速5kmからの急ブレーキでも実は車内の衝撃は大して変わらない。理由は速度が0kmになる瞬間が最も大きな力が体に掛かるからである。よって40km/hからでも5km/hからでも0km/hになる瞬間までは減速中でかかる時間が異なるだけで、衝撃は同じなのも知っておいていただきたい。

 多くの旅客の命を預かって運行しているバスの運転士は2つの事故を回避するための運転をしているので、バス車内では空いていれば優先席でも座っていただきたいし、立席ならば握り棒につかまったうえでスマホをいじっていただきたい。

 またバス運転士不足の要因の一つになっているのが、これらの責任の重さだ。車内事故を免責にしろとまでは言わないが、あまりにもリスクが大きい仕事に映ってしまう。これは立法にかかわるので国会議員の仕事なので諸問題を理解して力を注ぐセンセがいれば、ぜひともお話を伺いたいものである。

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