北九州市交通局(北九州市営バス)では、2021年10月末に西鉄の交通系ICカード「nimoca」を導入する予定だ。これにより従前より発行してきた「ひまわりバスカード」の取り扱いを変更する。
ひまわりバスカードは、まだ全国で磁気券が全盛の時代に、九州で最初に独自規格で導入されたICカード乗車券だ。nimoca導入の経緯を見てみよう。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】北九市営バスがnimoca導入を正式決定!
北九州市営バスのICカード導入は早かった
北九州市交通局は北九州市がまだ合併前の5市だったころの若松市交通局に由来する。それゆえ現在の若松区を中心に路線が構築されており、その他の北九州市内では主に西鉄バス北九州が路線を持つ。
2001年に同局ではICカード乗車券を九州では初めて導入する。JR東日本が鉄道でSuicaを導入する少し前には、すでにバスで独自規格のICカードを導入していた。
その後Suicaの規格を採用する事業者が大半となり、事実上の標準規格となる中でSuica等との互換がないひまわりバスカードは西鉄やJR九州あるいは旅行先で乗車券や電子マネーとして利用できないことによる不便さも目立つようになってきた。
独自サービスも多かったが…
同局では独自の割引サービスや積み増し(チャージ)によるプレミアムの付与、乗り継ぎ割引、定期券、1日乗車券等をひまわりバスカードに発行するサービスを展開してきたが、全国規模での互換性がないことの根本的な解決にはならず、「ひまわりバスカード」を廃止し西鉄のnimoca導入を決定する。
これにより全国でIC乗車券として、あるいは電子マネーとして利用可能になる。10月末のnimoca導入に先立ち、7月26日に回数券タイプと1日乗車券タイプの販売・利用が停止される。
同局が運行している小型バスについてはすでに利用が停止されているが、大型バスについては7月26日をもって「ひまわりバスカード」の取り扱いが終了する。また無手数料で払い戻しを受け付けるほか、同カード1日乗車券が利用できなくなることから紙券とスマホによるモバイルチケットの販売は継続する。
なおひまわりバスカード定期券についてはnimoca導入によりICカードとしては機能しなくなるので有効期限までは券面を運転手に提示して乗車する。デポジットは500円だがバスファンにとっては老舗のICカード乗車券なので、記念に購入しておいてもいいのかもしれない。