乗りバスシリーズ、今回は西鉄バス北九州の都市高速路線で急行を名乗る少し変わった経路の通称「恒見急行」に乗りバスしたのでレポートする。
小倉市街地と門司区の恒見営業所を結ぶ路線だが、同区間を走る路線バスはそのほとんどが小倉北区の商業地域や小倉南区のベッドタウンを経由する。しかし恒見急行は人口密集地は通らない。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】恒見急行は砂津まで33分の俊足さが売りだ!
経路選択が豊富な恒見・小倉線
恒見営業所はフェリーターミナルがある新門司港に近く、小倉の市街地へは小倉南区に出て北上し、小倉駅を目指すルートが一般的だ。
それでも複数の経路があり、北九州BRTとして「特快10番」の連節車や、各停10番の一部経路を都市高速に乗せ換えた110番もある。恒見急行はそんなメインルートには目もくれず営業所構内を発車するといきなり逆方向に走り出す。
記者が乗車した恒見急行は恒見営業所4613・三菱ふそうエアロスターが担当だ。行先は小倉駅バスセンターで、市街地の商業地区へは行かない。恒見営業所を出て一般的なルートとは逆方向に走り出した恒見急行は新門司港付近で山側に進路を変え、峠道を登り始める。
峠のサミットをトンネルで抜けると北九州都市高速道路の大里ランプが現れる。そのまま直進すれば門司駅前に出るのだが、大里ランプから一つ小倉寄りの富野ランプまで4.9キロメートルを都市高速経由でワープする。
富野ランプからは一路、砂津を目指して走る。砂津では門司側からアプローチするので小倉営業所側(砂津バスセンター)に停車するが、特快10番等の小倉南区を回ってくるバスは小倉駅側からアプローチするので砂津には反対側のチャチャタウン小倉側に停車する。
恒見急行は砂津を出るとそのまま終点の小倉駅バスセンターに入る。そこから折り返して恒見営業所に戻る。恒見営業所から砂津まで、特快10番だとダイヤ上では50分、都市高速経由110番と一般道経由の10番では1時間7分かかる。現実は渋滞があるのでダイヤ通りにはいかず遅延が発生する。
それに対して恒見急行は小倉駅以外に接続する鉄道駅はなく砂津なら33分で到達する俊足なので、経路もそうだが効率よく都市高速を利用する急行の名にふさわしい路線なのかもしれない。
特快10番や110番と組み合わせれば往路と復路で経路が重複しない「恒見ループ」が完成するので、乗りバスの行程にいかがだろうか。