道路に引かれる白線のうち、横断歩道とだいたい対をなす存在が停止線である。こちらは周知の通りだが、自動車に乗っていて信号待ちで停まった際、横断歩道の白線から「遠すぎないか?」と思わせるほど後ろに停止線が引かれている交差点がたまにある。
そういった停止線は、現場の雰囲気で何となく離してみた、というものでは決してなく、その場所特有の交通事情を汲み取った結果、そうなっているのだ。
文/イラスト:中山修一
写真:バスマガジン編集部・Adobestock
交差点に引かれた停止線には深〜くて重〜い理由があるのだ!!
横断歩道から停止線が離れる条件には、「信号機のある交差点」を軸に細かくなるが、その中から何点か条件ごとに例を見てみる。
●型にハマらない停止線
停止線を引く位置には、横断歩道の白線から2m手前という標準値が設けられている。さらにこの標準値に加え、交差する道路側を走行してくる車両が十分に見通せる距離を必要とする決まりがあり、2mでは見通しが難しい場合、安全と判断できる距離になるまで、停止線の位置が手前に下がっていくことになる。
ほぼ標準値で作られている停止線の実例としては、世界的にも有名な渋谷スクランブル交差点(2〜3m)が挙げられる。
●条件1:狭い道 vs. 大通り
普通乗用車なら対面通行ができる幅狭の道路が、2車線の大通りにぶつかる多くの丁字路では、見通しの距離を確保するため、横断歩道から離れた位置に停止線が引かれている。
距離にすると長いもので15〜18m程度と、かなり後ろにある印象。あわせて大通り側の停止線も2m以上離れる傾向があるようだ。
●条件2:路地への出入口がある
路地への出入口が、横断歩道の真横や手前にある場合も、停止線が離れる条件のひとつとなる。見通し距離の確保に加え、停止線が路地にかかってしまうのは問題があるのと、路地に出入りする車両が円滑に通れるようにするための措置と言える。
路地の道幅にもよるが、横断歩道から10m程度の位置に停止線が引かれている場所が多い。また、駐車場の出口が横断歩道のすぐそばにある際も同様となるケースがある。
■条件3:路線バスの通り道
大型車・とりわけ路線バスが通る、道幅があまり広くない交差点では、位置の離れた停止線が必ずと言ってよいほど見らる。普通乗用車に比べると、路線バスの車両はオーバーハングや内輪差が非常に大きいため、右左折の際にどうしても道幅の枠内からハミ出る。
そうなると標準の2mでは、対向車線の停止線手前に車両が停まっているとバスが曲がり切れず、交通の流れや運行ダイヤにも支障が出る。
そのような問題が生じないよう、停止線の位置をずらしてバスが支障なく曲がり切れる程度の余裕を持たせてあるわけだ。距離にすると8〜12m程度が一般的。バス路線によっては、バスが通る旨を記した立て看板が置かれている交差点もある。
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