夜行バスの魅力は眠っている間に目的地へ到着することと運賃の安さだが、意外と見逃されている魅力は乗車地である。大都市発着の高速バスは競合路線が多く、出発地は中心駅やバスターミナルだ。しかし周辺都市から乗車できれば便利だ。今回はそんな路線に乗車してみた。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■ドリーム知多号の不思議なプロファイル
週末の夜、筆者が降り立ったのは愛知県刈谷市の刈谷駅である。刈谷は名古屋市の南東側、岡崎市との間にある。駅はJRと名鉄三河線が乗り入れており、JRだと新快速で3駅およそ20分だ。駅を出ると大きいロータリーがあり、そのバス停に発着する夜行バスに乗車する。
しばらくバス停で待っていると定刻よりやや早く1台のバスがやってきた。今回乗車する「ドリーム知多号」で行き先は東京ディズニーランドである。改札を済ませて早速車内へ入る。
すでに多くの乗客が乗車済みで、睡眠体勢になっている乗客もいるようだ。出発時刻の23時15分に刈谷駅前を出発した。このあと知立駅北、新安城駅バス停を回って東名高速へ走行していく。
なんとも変わったルートのようにも思えるが、この路線は名古屋発とは異なるルートを走行する。歴史をたどっていくと何度も発着場所の変更を繰り返しているドリーム知多号だが2007年に運行がスタートし、現在は昼行便「知多シーガル号」、夜行便「ドリーム知多号」という名称で運転されている。(昼行便は新型コロナウイルスの影響で現在は運休中)
その名の通り、知多半島にある名鉄太田川駅から東京ディズニーランドへ向かう路線だが、2022年からは八田駅発着に変更になった。そこで気になるのが乗降場所なのだが八田駅から名古屋駅は距離にして約5km、時間にしても10分くらいという場所だ。
このバスは八田駅を出るとそちらの方向には向かわずに東方向にある金山駅へ向かう。その後は知多半島へ向かい太田川駅、緒川駅、イオン東浦店前、刈谷駅と東方向をつないでいく。
大ターミナルである名古屋駅はというと、名古屋駅は夜行バスも多く、あえて経由しないルートを選択している。ルート上に居住する利用者にとっては、わざわざ名古屋駅まで出なくても最寄駅から東京へ向かうことができるので非常に便利な路線だ。またドリーム知多号は一般道を多く走行するため意外と時間がかかる。
起点の八田駅は21時15分発だが、最後の乗車可能なバス停である新安城駅は23時55分発と、実に2時間半ほど愛知県内を巡るバスなのである。夜行バスのイメージといえば出発するとすぐ高速道路に入るケースが多いが、大都市周辺発着で一般道をこれだけ走る路線は珍しい。
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