日本中央バスは群馬県に本拠地を置く事業者だ。同県は一世帯当たりのマイカー保有台数が全国トップクラスと、路線バス経営には厳しい立地である。老舗の路線バスが衰退していく中、次々と廃止路線を引き継いで会社規模を大きくし、貸切観光バスも増車させてきた。
●前橋〜新潟便
運行会社:日本中央バス
相手会社:新潟交通
乗車撮影:2017年2月
(記事の内容は、2023年11月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2023年11月発売《バスマガジンvol.122》『思い出の長距離バス』より
■厳しい立地で路線網を伸ばす前向きな姿が実にカッコいい
前橋は東京まで約100kmの場所に位置し、高崎線が20分おきに、急げば上越・北陸新幹線も20分おきに運行している鉄道が充実する立地の中、池袋、羽田空港などの長距離便、そして夜行も関西中心に各地へバス路線網を張り巡らせてきた。
そして関越高速の延長上にある新潟へも開業させたことは前向きな姿といえよう。今までのバス事業者と違い、さらに新しい考えのひとつとして“屋根のある場所”で乗客を乗降させる様子。畑の中にあるバス停すべてとまでとはいかないまでも、この新しい考えは期待が大きい。
起点は本社のある前橋市郊外の前橋バスセンター。本社社屋の裏に広大な車庫があり、玄関前が乗り場だ。
高崎バスセンターから高崎駅と乗車して一路新潟へ、どの乗降場も建屋の下であった。数人の乗客はほとんどが女性、色白の美人ばかりだなと思いながら気分良いスタートとなった。
シートベルトが義務着けられた直後の時期であったためか、乗務員による車内放送はその点が強調されたが、それ以外の休憩場所などの案内がないのが逆に気になった。
マイカー通勤の列も長く、やっと高崎インターから高速入り。高速道路は順調で先を急ぐスキーツアーの観光バスがどんどん追い越していくが、どうやら格安ツアーのためか満席はもちろん目的地まで急ぎ足の様子がうかがえた。
■関越道と関越トンネルが上越と関東との距離を短くした
いよいよ関越トンネルだ。長い闇を抜けた後、白一色の銀世界は小説にあった通りで、車内ではワーッという歓声が沸いた。周りはスキー場が点在していることも確認できる。この関越道と関越トンネルが上越の国境を貫き、関東との距離を短くさせたことが実感できる。
進路の風景は山間部から平野となり、何もないパーキングエリアで突然停車し、休憩となった。何もないというのは言い過ぎかもしれないが、それは大和パーキングだった。
前もって休憩の案内はなく、もう少し設備の整った大きなサービスエリアは使えなかったのかとやや不満。その後新潟平野となり次第に積雪量は減っていき、新潟亀田インターを下りるともう新潟市内中心部、雪のない新潟駅に到着した。
新潟駅では富山地鉄など隣接県の到着時間でにぎわう時刻だった。その後需要が少ないのか、休止の後で廃止となった。
しかし冬の景観は素晴らしいし、降車した乗客の色白の美人たちが新潟市内へ溶け込んでいく姿は、日本海側特有の秋田美人や加賀美人と並んだ新潟美人だと気づいた。路線が復活されるなら、何時間か車内で居合わせた新潟美人と再会し再乗車したいと考えて新潟を後にした。
【画像ギャラリー】長いトンネルを抜けると……そこは雪国!! マイカー天国の土地で着実に路線網を伸ばす日本中央バス(8枚)画像ギャラリー
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