三重交通では3月1日から企画きっぷ「Ise・Taki・Kumano 南三重へのいざないフリーきっぷ」を発売している。この企画乗車券について特長など見ながら、その魅力と使い方について探っていきたい。バスマニアでなくても簡単確実に元が取れるほどの破格のきっぷだ。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■ゾーンではなく複数路線が乗り放題になるきっぷ?
この切符は名前の通り、伊勢・多気・熊野を結ぶ指定の路線バスと高速バスを何度でも乗車できるフリー乗車券である。ただし実際にそのような1本の路線があるわけではない。伊勢市から多気町にある商業リゾート施設「VISON」(ヴィソン)を結ぶ路線と、VISONから尾鷲・熊野方面へ向かうバスに乗車できるという意味である。
ダイレクトに行けるというわけではないが、沿線には見所も多いのでうまく活用できれば三重県南部の観光に有効なアイテムになるだろう。
■伊勢市からは高速バスでスタート?
まず切符の購入だ。発売箇所は伊勢市駅前、宇治山田駅前、内宮前の3ヶ所の営業所のみで発売する。バス車内では購入できないので注意していただきたい。また伊勢市からスタートするが、伊勢市内を走るどのバスに乗ってもよいというわけではない。
伊勢市から乗車できるのはVISON行きの高速バスのみであることに注意したい。VISON行き高速バスは朝の1本をのぞいては内宮前が始発となっているので、まずは外宮や内宮を参拝して、おはらい町やおかげ横丁などを楽しんでから乗車するとよい。
■VISONってなに?
内宮前から約25分で「VISON」(ヴィソン)に到着する。敷地面積は54haで東京ドーム24個分にも相当する国内最大級の商業リゾート施設である。およそ70の店舗があり、産直市場や県内の特産品のほか、バーベキュー、アウトドア体験としてバギー走行体験や木材から家具やアート作品を作るワークショップなどがある。
また丘の上には三重大学とロート製薬の共同研究により実現した「本草エリア」があり、VISON独自の「本草七十二候」という考えに基づき調合された72種類の薬草湯が楽しめる。
隣接する施設「ホテルヴィソン」では宿泊も可能だ。またVISONへ入る高速道路のインターチェンジである「多気ヴィソンスマートIC」は民間施設直結スマートICとしては全国で初めて連結許可を受けたNEXCOでは初の例である。
さらにその先にはラウンドアバウトと呼ばれる環状交差点もあり、なかなか見ることのできない珍しいランプなので、バスが通過する際も車窓の注目ポイントである。
■VISONから先が勝負?
VISONから先は2ルートが用意されている。まずは名古屋からやってくる南紀高速バスである。一気に熊野方面まで行ってくれるので時間短縮には好都合だ。VISONから熊野市駅までは約2時間20分だ。
そしてもう1つの選択は路線バス「松阪熊野線」である。こちらは松阪市と熊野市を結ぶ路線バスで、本州では2番目に長い135kmの距離を走る。高速バスが停車しないスポットに向かう場合はこちらに乗車する。ちなみにこのバスで熊野市駅まで向かうと約3時間30分かかる。
路線バスタイプの車両だがハイバックシートで長時間の乗車が考慮されているのも注目だ。長距離路線バスならではの降車休憩も2ヶ所用意されているので、都市部ではできない貴重な体験ができる。そのほか国道42号線沿いにある「道の駅おおだい」まで向かう路線バスにも乗車可能だ。
コメント
コメントの使い方