乗れば非日常の真骨頂を味わえる国内長距離カーフェリー。「カー」が付くゆえにマイカーと一緒じゃないと乗れない、ということは決してないものの、問題は港まで行く公共の足があるかどうかだ。
文・写真:中山修一
(徳島港公共アクセス事情の写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■日本で“唯一”の航路がある四国・徳島
これまで『バスマガジンWeb』上にて、全国各地の長距離カーフェリー乗り場と、そこへの公共アクセス事情を、現地へ様子を見に行きつつ何度かリサーチしてきた。
今回選んだのは四国の徳島。徳島には長距離カーフェリーの港が1カ所あり、出入りしているのが、全長191m・12,000トンクラスの船を使用したオーシャン東九フェリーだ。
このカーフェリーは東京都の東京港と、福岡県の新門司港の間を、途中で徳島港に立ち寄りつつ結ぶ航路になっている。所要時間は東京〜徳島間が約18時間、東京〜新門司間が計約33時間。
東京港(東京港フェリーターミナル)は有明にあって、2025年3月現在のところ、同港を発着する旅客輸送を兼ねた船は、オーシャン東九フェリーの東京〜徳島〜九州航路しかない。
この条件を踏まえると、徳島港は全国各地の中で、東京を起点にノンストップで直行する長距離カーフェリーが就航している、国内唯一の大変珍しい場所ということになる。
ちなみに、首都圏〜四国を、日付を跨ぎながらダイレクトに繋ぐ、似た性質を持った乗り物に、JRの寝台夜行電車「サンライズ瀬戸」がある。
東京発着で移動手段に夜行列車/長距離航路が両方揃っている地域というのも、実は四国だけだったりする。
■気になる徳島港への公共アクセス事情
オーシャン東九フェリーもまた、他のカーフェリーと同様に、大型貨物トラックの航送がメインで、旅客はその“ついで”といった印象を強く感じる。船のサイズに対して定員は266名と少なめ。
とはいえ船内設備は地上のホテル並みにキレイでしっかりしていて、マイカーなし・徒歩での乗船にもちゃんと対応している。
今回は徳島→東京行きの場合、どこからフェリー乗り場まで向かえるかを見てみよう。まず肝心のバスの有無であるが、どうやら路線バスが出ている模様。
徳島港から5kmほど離れた、JR徳島駅前のバスターミナルが港へのアクセス窓口になっている。連絡バスはクリーム地に明るいグリーンのラインが入った、民営の徳島バスによる運行。
徳島港から船に乗る場合、東京行き/徳島行きともに出航30分前に乗り場前に到着するダイヤが組まれている。
なお徳島港で下船して徳島駅へ行く際は直行バスがある。発車時刻は一応決まっているようだが、船の到着に合わせて調整しながら出発するスタイルだ。
港へ行くほうはバスが1本ずつしかなく、港へ早めに着いておくには他のバスを使うなど工夫が要るのと、その反対に乗り遅れると、タクシーを使わない限り間に合わなくなる可能性が高い。
■二つある徳島港
さて、徳島→東京行きのチケットを手配して、朝に徳島駅前のバスターミナルへ赴いた当日。
実は徳島にはフェリー乗り場が2カ所ある。一つはオーシャン東九フェリーの乗り場、もう一つは徳島〜和歌山を結ぶ南海フェリーの乗り場だ。
それぞれのフェリー乗り場へは別々の路線バスが出ている。船の本数がある南海フェリー行きのバスは20分おきくらいのペース。
バス系統の名称が「南海フェリー線」で、駅前バスターミナルにも「南海フェリー」と書いてあるので、すぐに分かる。
一方でオーシャン東九フェリーの連絡バスであるが、バスターミナルの表示に目をやると、それらしいバス系統の記載が見つからず、何番乗り場へ行けば良いのかが分からない。
しばし悩んでしまった。南海フェリーが6番乗り場なので、オーシャン東九も6番なんじゃないの? と予測しつつ、6番乗り場周辺の各時刻表をよ〜く観察していく。
すると、6番乗り場から出発する「3系統 中央市場線」に「オーシャン」という注釈が振ってある便が、10:20と13:20発の2つだけ混じっていた。
どうやらこれがオーシャン東九フェリーの徳島港へ行くバスだ。自分の乗りたいバス系統が、終点と路線名が一致しないタイプだと、探し出すまでが大変なんだよね。
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