新潟・万代シテイバスセンターと大阪・京都を結んだドル箱高速バス「おけさ号」は“鉄道いらず”の存在だった!!

新潟・万代シテイバスセンターと大阪・京都を結んだドル箱高速バス「おけさ号」は“鉄道いらず”の存在だった!!

 新潟と東京は新幹線をはじめ交通の行き来は数多いが、伝統の関西との交通は少ない。北陸自動車道をほぼ全線走破するおけさ号。関西、日本海、新潟平野と北陸を北上していく。

●おけさ号 大阪〜新潟
○運行会社:新潟交通(相手会社:阪急バス)
○乗車・撮影:1991年6月

(記事の内容は、2024年12月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2024年12月発売《バスマガジンvol.127》『思い出の長距離バス』より
※社名表記は運行当時のものです。

■関西と北陸を結ぶドル箱的な重要路線として活躍していた

新潟交通おけさ号
新潟交通おけさ号

 新潟交通がおけさ号の運行により、初の西日本へとルートを伸延したというニュースが届いた。そしてさらに、阪急バスは初の東日本へ伸延。両社ともその後は長距離路線網が伸びたが、おけさ号は今までにない区間を走ることとなった。

 おけさ号は大阪から北陸最北の新潟への長距離路線だ。新潟は日本海側最大の都市でもあり、古くから関東よりも遠い関西とのつながりが大きかった。

 相手会社、阪急バスも長距離路線は数多く福岡便、新潟交通は東京池袋便、両社とも夜行は二路線目であり、当時路線ごとの車体の共通デザインは施されず、お互いオリジナルカラーとなった。車両は共通で三菱オリジナル車体、車内もほぼ共通だったがシート生地やシートカバーなどに違いがあった。

 新潟交通はその後開業してきた夜行路線含めても、一番長距離が理由なのか新車導入のたびにおけさ号に使用され、この日もまだ代替え直後の車両に乗車することができた。

■高速で新潟までつながった!! うれしい朝の始まりだった

起床のため休憩、明るいニュースで乗客も元気な一日の始まりとなった
起床のため休憩、明るいニュースで乗客も元気な一日の始まりとなった

 いつもにぎわう大阪阪急梅田、週末とあって2台運行となった。たくさんの関西の人々に見守られて大阪を後に京都に立ち寄り、東へ向かう。高速道路の案内看板に記された「東名方面」の文字を気にも止めずに北陸方面へ。日本海沿いに深夜走行するが、松林で海は見えそうで見えない。

 有磯海S.A.を過ぎると初夏とあって夜が明けてきた。日本海がやっと姿を見せ、前夜に池袋を発車してきた西武の北陸行き夜行と何度かすれ違った後、親不知の険しい難所を過ぎれば内陸へと向かう。途中には弥彦山が構え、はさ木がまだこのころ新潟平野らしい風情だ。

 起床支度のため、サービスエリアで休憩。朝のテレビニュースが放送されるのはこのころの定番となっており、画面では次のオリンピックは、「ナガノ」と表示された。おとなり長野県のビッグニュースとあって、ブラウン管の中も車内でも歓声に包まれた。

 その喜びを乗せて車窓は新潟市中心部となり、古町、萬代橋を渡って新潟駅、そして終着万代シテイバスセンターに到着した。

■新潟は次第に関西から関東へのアクセスが増えていった

おけさ号パンフレット
おけさ号パンフレット

 おけさ号は開業後、しばらくは利用者数が好調で、週末は2台で運行されてきた。かつて北陸は関東までは近くて遠い場所として、アルプスの山並みを越えるのが難儀とされていた。

 新潟では三国連峰が壁となり、鉄道は日本海周りの信越線か福島経由の磐越線回り。その後清水トンネルで上越線が開通し、至近距離の足が確保された。

 鉄道は新潟関西の直通便は昼夜問わず1日に数本存在したが、徐々に廃止となってきた。

 道路は三国トンネルが開通され、その後高速は関越トンネルと関東の行き来が容易となり、新潟から関西への経済的な需要はもはや過去のものとなった。

 しかし長年運行してきただけあって、お世話になった人も多かったに違いない。おけさ号は多くの利用者たちの心の中に生き続けるだろう。

【画像ギャラリー】繁忙期には2台での運行も!! 大阪・京都から新潟を結んでいた長距離高速バス「おけさ号」(11枚)画像ギャラリー

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