1990年代に製造された旧設計の路線バス車両が、2025年現在も現役を続行しながら一部で活躍している。今回は同年6月に群馬県で見かけた旧車にクローズアップ!
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、2025年6月現在での現役旧車バスの写真があります)
■群馬県・沼田駅前バスウォッチ
2025年6月に群馬県の沼田を訪問した。同地までは電車でアクセス、JR上越線の沼田駅で下車。駅前にバスロータリーが広がっているのを目にして、少しバスウォッチすることにした。
沼田駅前にやって来るのはどんな車か。最初に現れたのは地元のバス事業者・関越交通の大型路線車。角目ヘッドライトを縦に2個ずつ配置した少し昔のいすゞエルガであった。
変形4つ目のエルガも最終モデルから10年ほど経っており、日頃見慣れたごく普通のバスという印象に、少しずつ懐かしさが加わっていく頃合いになってきた。
ともあれ沼田駅前に来る路線バスは基本的に、ごく一般的なエルガ系かな? と考え始めた頃、白地に赤と青の関越交通カラーとはまた異なる、見るからにして旧そうな容姿のバス車両が入ってきた。
■沼田で見かけた旧式路線車
前面おでこの行先表示器こそオレンジ色LED方式に交換されている様子ながら、全体的に角張った車体と、ランプを横に2個ずつ配置した角目4灯ヘッドライト……紛れもない、旧世代の日野ブルーリボンだ!
オレンジと白・緑の塗り分けで、前述のエルガとは塗装が異なるが、こちらも関越交通のバスで、堂々の2ケタ(群馬22)ナンバーを掲げていることから、恐らく生え抜きの車である。
側面に昇降式のサッシ窓が嵌め込まれ、「田」の字にも見える窓配置が、バリアフリー対応が本格化する以前に設計されたバス車両であるのを思い出させてくれる。
しかもこのブルーリボンはツーステップ仕様と、これまた最近ますます希少性が高くなる一方の車内デッキスタイル。
それでいて、前とリアタイヤの後ろにドアを設けた前後扉車のスタイルが、これぞ“The・バス”の風格を放ち、なんとも端正な容姿を持った1台に仕上がっている。
■沼田のブルーリボンのプロファイル
沼田駅前で見かけた旧世代の日野ブルーリボンのプロファイルを後で掘り下げてみたところ、1995〜2000年まで製造されたバリエーションで、実車は1998年式であった。
型式はKC-HT3KMCA。リーフサス、ホイールベース5.2mのモデルで、直列6気筒・270馬力、13,000ccクラスのディーゼルエンジンを搭載した高出力型。
沼田エリアは勾配区間が非常に多いため、高出力エンジンを積んだバス車両が選ばれるのは自然に思える。
■1台だけじゃなかった
沼田駅前でバスウォッチした翌日、沼田〜鎌田〜大清水間を結ぶ、関越交通の鎌田線に乗車した。その移動中、前日に見かけた同じ車体カラーのブルーリボンとすれ違った。
最初は昨日見たのと同じ車かな? と思っていた。ところがバスで移動している途中、ナンバーの違う同型車を2度目撃、ここで初めて、沼田周辺には旧世代のブルーリボンが何台かいると気付いた。
ナンバーが確認できた別の2台はいずれも1998年式で、型式も同じKC-HT3KMCAのようだ。ツーステップ、前後扉のレイアウトもほぼ共通とみられる。
製造から27年を過ぎた、もうすぐ30年ランナーに迫る旧世代の路線バス車両が、今も群馬県で1台だけに留まらず複数が現役を続け、ごく当たり前に働いていたとは予想外、終始驚かされるばかりであった。
【画像ギャラリー】沼田の旧いブルーリボン(8枚)画像ギャラリー
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