首都圏などでのディーゼル排ガス規制が及ばない地域で現役続行中の、1990年代に製造された古いバス車両。“消滅”の一途を辿っているのは必至ながらも、2025年3月には、こんな古参のバス車両を見かけた。
文・写真:中山修一
(路線用2桁ナンバー車の写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■島根県を走る中型ネオクラシック
2020年代以降もネオクラシックな車両を使い続けている(いた)バス事業者は各地にあり、島根県の一畑バスもその一社だ。
一畑バスに在籍している代表的な古参車といえば「いすゞジャーニー」。いすゞジャーニーは1984〜99年まで、マイナーチェンジを行いながら製造された、全長9mクラスの中型路線車だ。
デビュー当初から強烈なインパクトでバスファンの話題をさらい、2025年3月現在も一部で現役の車が見られる、同社製10.5mクラスの大型路線車「キュービック」とほぼ同時期に登場した車種でもある。
ジャーニー/キュービックの顔つきに注目すると、どちらも角目4灯ライトで、そっくりではないけれど、きっと兄弟姉妹だろうな、と思わせるくらいの雰囲気を両車それぞれ持ち合わせている。
一畑バスのジャーニーは、各種バリエーションのうち「ジャーニーK」と呼ばれるモデルの、1995〜99年まで作られた後期型が多いようで、当時まとまった数が導入されたとみられる。
型式は「KC-LR333J改」。333はリーフサス仕様、Jは全長8.99mのタイプを示す。およそ8200cc・210馬力級の6気筒ディーゼルエンジンを搭載している。
側面の窓は昔のバスらしい味わいを見せる、アルミサッシの2段窓。今となっては横から見ると一発で旧車だと分かるスタイルへと転身して久しい。
■2021年現在のいすゞジャーニー
2021年の12月頃に島根県を訪れた際、一畑バスのいすゞジャーニーに乗車した。当時は出雲市駅周辺と、内陸部の立久恵峡方面とを結ぶ「須佐線」に使われていた。
その時の車は、1997年式のKC-LR333J改であった。1997年はナンバープレートがまだ2桁の時代で、該当車両も島根22だったため、恐らく生え抜きの車だ。
そして時は2025年3月。あれから3年と3ヶ月ほど経ち、気づけば2021年ってそんなに前の話になってたの? と、流れる時間の早さに感慨深いものを覚えつつ、再度島根県を訪問する機会があった。
■2025年3月現在いまだ健在!!
島根県松江市にある、一畑電車の松江しんじ湖温泉駅の周辺を散策していると、目線の先に2段アルミサッシ窓のバス車両が現れた。あれは絶対に旧いクルマだ。
近くまで行って車種を確認すると、間違いない。一畑バスに残るネオクラシック車の“顔”・いすゞジャーニーKであった。よかった、まだ古参車がいた!
前回の2021年に乗ったジャーニーKとはまた別の車番だったが、全長8.99mのKC-LR333J改であるのは同じで、ワンステップ仕様になっている。
もう少し掘り下げてみると、2025年3月に見かけたジャーニーKは1996年式とのこと。前回よりも車齢が1年上の個体ということになる。
ナンバープレートは堂々の2桁ナンバー「島根22」。元々はごく普通のナンバープレートも、今や30年近くの間“地元のバス”としてコツコツと頑張ってきた証へと変わり、より一層の誇らしさを放っているように見えた。
首都圏を離れた各地でバスウォッチしながら、1990年代(もしくはそれよりも前)に製造されたバス車両を見つけて記録に残すのは、バスの楽しみ方でも特に魅力あふれるテーマだ。
【画像ギャラリー】いすゞジャーニーKディテール図録(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方