どこにでもいそうな気がしたけれど、いざ周囲を見回してみると姿を見ないような?? 近頃そんな存在感を増しつつあるバス車両といえば「ブルーリボンシティ」かもしれない。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に各種ブルーリボンシティの写真があります)
■ある意味で“最後”のブルーリボン
2025年5月現在、日本のメーカーが手がける、長さ10.5m・幅2.5mクラスの代表的な大型路線バス車両の一つに、日野自動車が発売している「ブルーリボン」がある。
現行タイプのブルーリボンは、いすゞ「エルガ」との共通設計になっており、姿形がほぼ同じ。とはいえブルーリボンシリーズの歴史は古く1950年代まで遡る。
今回注目する「ブルーリボンシティ」は、バス製造メーカーのジェイ・バス社が発足し、いすゞ/日野製バス車両の共通化がスタートする前、日野自動車がバスを独自設計していた時代に登場した、ある意味で“最後”のブルーリボンと言えるモデルだ。
■滑らかな角目4灯顔
ブルーリボンシティは2000年に発売したブルーリボンシリーズの一つ。マイナーチェンジ版の扱いであったものの変更点が多く、それに伴いペットネームも「ブルーリボンシティ」に刷新された。
前面はブルーリボンシティ独自の顔つきと呼べるもので、角目4灯ヘッドライトを持ち、ライトケースを含めたバンパー回りが丸みのある形状をしており、滑らかな印象を受けるのが大きな特徴。
横から見るとフロントバンパーが少し“しゃくれ”ているのも、ブルーリボンシティならではの個性に数えられる。
また、三菱車によく見られる、車内から見てフロントガラスの左下に取り付けられた、安全確認用の小窓(セーフティーウインドウ)が、ブルーリボンシティでは標準装備となっている。
すでに路線バスへのバリアフリー対応が始まりつつあった時期の車種ということで、ワンステップ車とノンステップ車が用意されていた。
一方、2000年代初め頃は昔ながらのバス車両も、まだ各地で使われていた転換期でもあったため、オプションでツーステップ仕様も選択できた。
また、導入したバス事業者などによって、前1扉(トップドア)車、標準的な2扉車、中扉4枚折戸、前後扉など、多種多様なドア配置が見られる。
■いそうでいないクルマ?
さてこの日野ブルーリボンシティ、今日では「いそうでいないクルマ」といった存在感が増しつつある。
しかし今も首都圏でこの顔をよく見かけるような? それは確かではあるものの、首都圏を走るブルーリボンシティ顔のバスは、いそうでいないタイプとはまた別物。屋根を見ると、ほとんどの車両に大きな「コブ」が付いているはずだ。
そのコブの中身はバッテリー。ブルーリボンシティには、ほぼ同じ顔をしたハイブリッド仕様の「ブルーリボンシティ・ハイブリッド」があり、2010年代の中頃まで製造されていた。
ハイブリッド仕様は首都圏の大手バス事業者にも、まとまった数が導入されていて、2025年現在のところ、車齢的にもまだ使い続ける段階。
ブルーリボンシティに、どこにでもいそうなイメージを抱くのは、恐らく首都圏でハイブリッド仕様が普通に使われているためかもしれない。
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