「FLiXBUS(フリックスバス)」…海外旅行が趣味で、世界中を旅している人であれば、きっとこの名前を一度はどこかで見聞しているのではないだろうか。でもそれがどんな組織なのかを知る人は少ない……のか!?
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■急速に発展した高速バス会社
フリックスバスは、2011年に3人のドイツ人が創業したベンチャー企業で、欧州域内におけるバス業界の規制緩和をにらみ、都市間高速バス事業への進出を計画。
2013年に最初の3路線を開業すると、事業を急速に拡大。ドイツ国内にとどまらず、欧州各国へ次々と進出し、その勢いで北米、南米、中東、カナダ、オーストラリアとヨーロッパ域外への進出も果たしている。
明るい黄緑色の車体に、大きく書かれた「FLiXBUS」の文字は、海外へ出掛けていれば、一度はどこかで必ず見ているのではないだろうか。
■運行される車両はすべて委託
フリックスバスの特徴は、同社が自社でバスの運行を行うわけではなく、運行区間やダイヤの設定、運賃設定、予約サイトの管理、マーケティング、カスタマーサービスといった裏方業務に徹しており、実際の運行は子会社や委託業者にすべて任せる、というビジネスモデルを確立したことだ。
フリックスバスという会社自体が保有している車両は、バス会社として登録するためだけに保有しているわずか1台だけ、とも言われており、その代わりとして1000社以上のバス事業者が、フリックスバスのブランドを背負って運行を行っているわけだ。
ということで、普段街中で見かけるフリックスバスの車両は、全車がフリックスバスの子会社、もしくは同社に委託された会社のバスということになるが、ではどういった会社が運行を行っているのか、気になるところではある。
■委託会社の多さから来る悩みどころ
実際のところ、事業を急速に拡大したツケなのか、それとも単に運行されている車両が多いから目立つだけなのか、同社ブランドのバスは比較的大きな事故に巻き込まれることが多い。
2025年にヨーロッパ域内で発生した、ニュースなどで確認できる事故だけでも4件、このうち同年1月にベルリン~シュチェチン間の路線で発生した事故では2人が死亡、同年7月にドイツ国内で発生した事故ではバスが横転している。2026年も、すでに2件の事故が記録されている。
ただ、もちろんニュース記事としては「フリックスバス」という記述しかなく、どこの国の、何という委託会社かまでは記載がないから、例えばドイツ国内だからといって、ドイツの事業者かどうかは分からない。
どこの会社のバスか、ということは、車体に表記があれば確認することができる。たいていは、運転席の窓の下や、前部ドアの窓下に、小さくバス会社の名前が表記されており、丁寧な会社の場合はそれに加え、会社の住所、電話番号も一緒に記載されている。
■必ずしも走っている国のバスとは限らない
会社名などの表記がない場合、あとはナンバープレートを見て、どこの国の会社かを判断するくらいしかできない。
前述の通り、フリックスバスは運行区間やダイヤ、運賃の設定だけを行い、それを委託業者へ仕事として依頼するだけなので、必ずしも起終点の国のバス会社が運行を行っているわけではない。
先日、バスターミナルで見かけた路線バスの中でも、特に驚いたのがプラハ~バルセロナ間の路線だ。この路線は、プラハを出るとドイツへ抜け、そのまま西へと進んでスイスのベルン、ジュネーブと通る。
さらに国境を越えてフランスのリヨンなどを経てスペインのバルセロナへと至る、超ロングラン路線なのだが、ナンバープレートを見たらなんとルーマニアの車両だった。
もちろん、ルーマニア始発のバスではない。おそらく、ルーマニア~チェコ間の路線で運用されたあと、その間合いでチェコ~スペインを1往復して、またルーマニアへ戻るのだろう。
とんでもない運用を行っているが、こういうのを見てしまうと、ドライバーの休養はどうなっているのだろうか、などの疑問が湧いてきてしまう。
事故が多いと言われている所以は、こういった過酷な運用にも一因があるのではないだろうか?
筆者地元のプラハからは、他にもイタリアのローマやフランスのパリ、英国ロンドンまで直通のバスが運行されている。
プラハを11時過ぎに出発し、ロンドン着は翌朝9時過ぎ。23時間10分でお値段は最安値が46.99ポンド。航空運賃も値上がりするなか、確かに安い。
記載を見ると、運行はチェコの事業者が担当しているようだが、若い方でこれにチャレンジをしてみようという猛者はおられるだろうか…?





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