ここまで知ってた!? 方向幕に刻まれたコマ番号の謎に迫る【特集・方向幕の世界】

ここまで知ってた!? 方向幕に刻まれたコマ番号の謎に迫る【特集・方向幕の世界】

 鉄道の方向幕ではよく目にする「コマ番号」。バスの方向幕も一部の事業者で愛用されているが印字位置はさまざま。そんな裏方的の存在なコマ番号も事業者によって特徴があるので色々な例を紹介していきたい。

文/写真:高木純一(バスマガジンvol.85より)


裏方的な存在に感じられているコマ番号にも特徴がある!?

レシップ製バーコード検知式の方向幕はこのようなバーコードと共にコマ番号が印字されている。印刷メーカーによって横書きだったりする
レシップ製バーコード検知式の方向幕はこのようなバーコードと共にコマ番号が印字されている。印刷メーカーによって横書きだったりする

 よく目にするのはレシップ製のバーコード検知式方向幕。検知位置にコマ番号が印字されている例がほとんどで、番号がとても小さく記されている。

 この幕はバス特有の切り継ぎが難しく、途中に新しい幕を切り継がれることがほとんどないため、コマ番号の修正がないので基本的にはその番号がコマの番号になる。

 しかし、ほかの幕は途中に新しいコマを切継ぎすることが容易なため、コマ番号がずれたりする。またシャトルバスなど全車に同じ幕を切継ぎする場合、営業所ごとでコマ数や切継ぎ位置が異なるため、東京都交通局(都営バス)では珍しく「コマ番号シール」として古くから現在まで、一貫して採用している。

都営バスの方向幕はコマ番号シール式になっている。時代によって数字の色が異なるが末期は黄色。製作メーカーによっては印字で納入されたこともある
都営バスの方向幕はコマ番号シール式になっている。時代によって数字の色が異なるが末期は黄色。製作メーカーによっては印字で納入されたこともある

 その次によく見るのは「丸で囲まれた中にコマ番号が書いてある」物だ。これは関西地方と中京地方にある大手方向幕印字メーカー標準の裏側印刷コマ番号だ。フォントは異なるが大きさはほぼ同じ。

 ただ、事業者によってコマ番号の印字場所が異なるがおおよそ似たようなところに印字されている。これはバスの車体側にある「幕窓」から見える位置に印字されるためである。特に前面幕は運転席から見える位置に印字されているため、裏から見て右側に印字されていることが多い。

川崎市バスの例。コマ番号が幕中央部に大きく書かれている。近くを走る川崎鶴見臨港バスも同じような丸囲いのコマ番 号で書かれているのが位置が異なる
川崎市バスの例。コマ番号が幕中央部に大きく書かれている。近くを走る川崎鶴見臨港バスも同じような丸囲いのコマ番 号で書かれているのが位置が異なる

文字面に影響が出ないように小さく印字する事業者もある

 コマ番号は蛍光灯を当てると表の文字にかぶって見えてしまう事があるため、文字面に影響が無いように京王バスグループや日立電鉄バス、立川バスなどのように小さくコマ番号を印字する事業者もある。

関西の大手印字メーカー標準の裏印刷のコマ番号印字の例。やや古めかしい数字の書体は昔から変わらず
関西の大手印字メーカー標準の裏印刷のコマ番号印字の例。やや古めかしい数字の書体は昔から変わらず

 これは関西地方のメーカーの幕に見られる事例だが、裏から見て右端中央部に印字されている。またこれは表面と同時に印字できるため、製作コストも抑えられるのが特徴。

 その逆もあり、川崎市交通局(川崎市営バス)や宮城交通などでは、コマの裏側中央部に大きめのコマ番号を印字する事業者もある。この場合、コマ番号が文字面にかぶっているので遠くから見ると字が読めないこともあった。

同じく関西の大手印字メーカーの表印刷版の標準コマ番号印字の例。裏から見るため字が反転している

 番外編としてコマ番号ではなく前幕のみに行先の頭文字を印字する京都バスの幕、同じく前幕のみだが裏側にも表面と同じ行き先を印字して両面印刷にしている神戸市交通局(神戸市営バス)。

 同局では魚崎と石屋川の両営業所の幕のみ、両面印刷ではなく幕裏側の右側上部に小さく行先を印字しているのが特徴だ。

 大阪市交通局はさらに特殊で検知マーク部分にコマ番号が小さく記されているのだが、その反対端には「本当のコマ番号」が数字とアルファベットで記載されており、そのコマを局内共通で管理しているのは面白い。

神戸市営バスの前面方向幕は珍しい両面印刷仕様。夜間蛍光灯の光を当てると反射して見えづらくなるのでどのコマかをわかりやすくするための工夫だ

 説明すると、たとえば「回送」は全営業所共通で「07B」という番号で登録されている。また前面幕のみ裏側の系統番号部分に隠れるように系統と行き先が印字されている。このように方向幕は表側だけでなく裏側にも事業者ごとの特徴が隠れているのは面白いことである。

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