乗用車ならトヨタはトヨタでシャシーとボディを作り、日産は日産でシャシーとボディを作る(最近はOEMなどもあるけれど……)。いや、当たり前のことを言って恐縮ですが、実はバスはその定義に当てはまらないことが多いんです。
つまりA社のボディをB社のシャシーにのせるなんてことが日常茶飯事でした(しかも型式は同じ)。数は減ってきたものの今でもその活躍を見ることができます。
それは地方にある中古路線バスが大半を占める事業者。親会社からの転属がメインの事業者もあるが、大半はその時に中古市場に流通している車両から導入する事業者も多いのです。
そうなると同じ型式でも違うボディを架装している車両が入ることがあり、マニア心をくすぐるんですなぁ……。長野県長野市を走るバスのケースを紹介します。
TEXT/PHOTO:■湯(バスマガ信越支局)
バスマガジンvol.80
【画像ギャラリー】超濃い目で型式紹介!! 同じ型式なのに違うボディのバスたち
今後は確実に減少していく、出生に事情(!?)があるバス
バスマニアならご存知だろうが、 地方事業者には必要台数を新車で賄うことが出来ず、中古バスの導入をすることは一般的である。
しかし流通する台数には限りがあり、それを多数の事業者で取り合う状況において、特定の車種だけを共通でそろえる事は非常に難しく、結果的にバラエティ豊かな車種構成になることも珍しくない。
特にバスは長年に渡り、シャシー製造メーカーとは別に、車体を製造するコーチビルダーが存在していた。
乗用車とは異なる、大型車特有の製造方法である。同じシャシーでもボディが違ったり、逆にボディが同じなのにシャシーが違う、といった現象は自然と起きる。
川崎車体(のちのいすゞバス製造)が日野シャシーに架装した車両も長野には存在していた。
現在はコーチビルダー専門メーカーがすべて撤退しており、特装などの二次架装を除き、ボディとシャシは一対である。
しかし中古車の場合は製造から10年ほど経過してから流通するため、まだ複数のコーチビルダーが存在していた時代の車両が流通しているわけだ。
とはいえこの状況もあと数年と思われる。北村製作所は1995年に撤退、富士重工は2003年に撤退し、最後まで残った西日本車体工業でも最終製造車出荷から時間が経過している。
中古バス市場は確実に純正ボディの流通が増えている。となると各地の珍車はぜひ記録しておきたいものだ。
ボディが違うということは部品が違ったり、各部の使い勝手も異なる。それもあって、新車で導入する事業者はなるべく車種だけでなくボディもそろえる。
中古で入れる事業者側には部品確保の面などでデメリットが生じるが、ファン目線ではその複雑さが魅力にもなる。
同じ型式なのに顔が違う、こんなバスをみつけるのもバスの楽しみ方のひとつではないだろうか。