サンデン交通の平成も、そのイメージを大きく変えた時代といっていいだろう。ひとつは長距離夜行高速バスへの挑戦、そして一般路線バスの質的改善だ。
前者は我が国で初めて2階建てバスを夜行バスに投入、後者は中古バスによる車両体質改善と低床化、そして塗装変更によるイメージチェンジである。
執筆/写真:石鎚 翼(バスマガジンvol.102より)
バラエティ溢れる一般路線バスは体質改善を強力に推進
長距離夜行バスは、1989(平成元)年大阪線の開業によって参入した。1991(平成3)年には当時、東京・福岡線(京王電鉄・西日本鉄道(当時))に次ぐ長距離路線だった下関・東京線の開業にあたり、日本で初めて2階建てバスを夜行バスに投入した。
これはジェイアールバス関東との共同運行で、両社とも1階部分をフリースペースのサロン室にあてた。15時間を超える乗車時間であることに鑑み、2階建てバスの特徴を活かした取り組みであった。
この後、サンデン交通は昼行高速バスの運行にも進出し、福岡線、広島線、小倉線を開設するなど拡大したが、東京線は2006(平成18)年に廃止、大阪線も2013(平成25)年に廃止され、夜行バスからは撤退。
昼行高速バスも今年6月現在、県外便は福岡線のみ運行が継続されている。平成時代の始まりとともに始まった高速バスブームであるが、サンデン交通では平成のうちに下火となった。
一般路線バスは国内4メーカーを購入、かつ車体は西日本車体工業製と純正を並行して採用し、ドア配置も導入時期により前後、前中、前中4枚折戸が存在した。加えて、貸切バスから転用されたセミデッカー車や、中ドアを増設した車両なども在籍し、一般路線バスのバリエーションは非常に多く、当時の特徴となっていた。
平成初期には旧型車両が数多く残り、車両の体質改善も必要であった。そこで、1998(平成10)年から首都圏の低床・冷房の中古車を数多く投入し、改善を進めた。また、系列のブルーライン交通への路線移管を進める一方、同社に中型中古車を投入し、車両のダウンサイジングを進めた。
また、1997(平成9)年には貸切バスのデザインを変更、その後も一般路線バスは創業以来伝統のカラーリングを維持したがノンステップバスには特別塗装が施された。その後2013(平成25)年にはすべての一般路線バスのデザイン変更が開始された。
サンデン交通の平成は夜行高速バスといった新分野への挑戦に始まり、中古車の投入による一般路線バスの質的改善、そして高速バス分野の大幅な縮小と、ドラスティックな変革が続く時代であった。