■ドライバーの慣れ、習熟には特に配慮
エルガFCVの運転席や操作系スイッチなどは、先輩電気動バスとなるエルガEVのレイアウトをほぼそのまま踏襲している。いすゞの電動バスは、従来のディーゼルバスから乗り換えたドライバーが違和感なく、継続して安全に運転できるよう、あえてアナログ感を残した共通の設計思想で作られている。
ただし、走行エネルギー源が違うことによるエネルギー残量計など、違う方式・表示をせざるをえないものにも、できるだけ自然に受け入れられるようデザインされている。たとえばメーターパネルの左側に出力や回生を示すパワーメーターを、右側にスピードメーターを配し、ディーゼル車と大きな違いのない視認性が得られるように設定されているなどだ。
操作性においても、ドライバーの負担軽減と操作ミス防止のため、両車で完全統一されている。シフトレバー(ATセレクター)はディーゼル車のAT車と変わらない操作感のシフトスイッチを採用。走行フィーリングもアクセルを離した際の減速感や、クリープ現象がディーゼルバスに極めて近い感覚を得られるようチューニングされている。
同じ日に異なる車両に乗り換えることもある、路線バス運行の現場に配慮した設計だ。 さらに燃料として軽油や充電電気ではなく、水素タンクを積んでいるため、メーター内に「水素の残量(圧力・量)」を示す専用の計器・インジケーターを備える。エルガFCVは、運転の操作系をエルガEVや従来のエルガと徹底的に共通化させることで、バス会社の「導入直後の教育コスト」を最小限に抑える工夫が凝らされている。
■乗車定員数が減少してしまっただと!?
ディーゼルのエルガと比較した場合、このエルガFCVの乗車定員は減少してしまっている。これは、車体を「完全フルフラット構造」にしたことによる座席配置の見直しや、バッテリー・水素タンクといった電動パワートレーンによる車両重量の増加(それに伴う法的な総重量制限)が主な理由となる。標準的な「都市型」での比較だと、乗車定員はディーゼル車で79名、FCV車だと70名となった。
乗車定員は減少したものの、利便性は確実に向上しており、車内の通路が最後部まで広くフラットに確保されたため、「後方への移動に対する抵抗感をやわらげ、混雑時でも奥までスムーズに詰められる」「車いすやベビーカーのスペースがゆったりしている」という、実用面での大きなメリットが生まれている。
さらに「郊外型レイアウト」になると、完全フルフラットの床形状をそのまま維持しつつ、中距離路線に向けた仕様で、標準の「都市型」に比べると、着席できる座席数が2席~4席増加、車内空間を座席に充てるため、立席を含む乗車定員数はさらに若干減少するものの、乗客にとっての快適なバス乗車を提供できる(郊外型定員数は67~68名)。
屋根上のコンパクトなレイアウトによりフルフラットな車内を実現。フロントブラインドスポットモニター、EDSS、外部給電機能などを備え、最新の路線バス車両としての実力を遺憾無く発揮できることが確認されたいすゞエルガFCV。ジェイ・バス宇都宮工場で製造されている。
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