都営バスの門33系統は都電代替の比較的新しい路線である。城東地区の下町を大回りで走るこの路線は、観光地や門前町や古い下町の街並みなど乗車時間は長いものの乗りごたえのある路線だった。
文:小野寺利右
編集/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
豊海水産埠頭からスタート
今回の乗りバスレポートは、都営バスの門33系統だ。この路線は都電の代替系統で、歴史は比較的新しく昭和47年に都電廃止と同時に開設。JR総武線亀戸駅から豊海水産埠頭を結ぶ路線だ。今回は豊海水産埠頭から亀戸駅方向に乗車した。
今回乗車したバスは都営バス江東営業所のZ518号車だった。江東営業所の他に南千住営業所も担当する。
出発地は中央区の豊海水産埠頭。当地の町名は豊海町で、名前の通り水産物の建物や倉庫群になっている。この豊海水産埠頭を出発して、清澄通りを北に向かう。出発時の豊海水産埠頭の時点では日曜日ということもあり、乗車はほとんどいなかったが、2つ目の新島橋停留所から多くなってくる。
この辺りは勝どき地区で、再開発のマンション群が多く立ち並び、都営地下鉄大江戸線の勝どき駅までは少し距離がある。よって勝どき駅までの需要はあるようだ。ここから途中の両国駅まで都営大江戸線と並行して走る。
勝どきから下町地域を走る
晴海通りと交差した勝どき駅前停留所を過ぎ、北に進みむと月島地域へ出る。ここはもんじゃでも有名な地域になっているが、古くは埋め立てでできた地域で、月島駅も東京メトロ有楽町線が開通したことによりアクセスが良くなった。
当駅は以前は新佃島と名乗っていた。当時の都営バスはここまでだった。佃煮で有名な佃島は、駅前の停留所を降りて左の川沿いにある。現在では東京の名物になっているが、江戸幕府が開かれたときに家康が大坂の佃から漁師や職人を呼び寄せて佃煮を作らせたことが始まりだとされている。
門前仲町と清澄庭園
月島地区から清澄通りを北に進み、相生橋を渡ると江東区に入る。越中島を通り、永代通りと交差して門前仲町に至る。門前仲町は富岡八幡宮の別院、永代寺の門前町に由来する。通り名の永代通りは当地に由来する。富岡八幡宮の他にも深川不動尊や一つ先の停留所に閻魔堂もある。
深川一丁目を過ぎると左手に庭園が見えてくる。ここが清澄庭園だ。もとは江戸時代の豪商の屋敷だった。その後に三菱財閥の岩崎弥太郎が買い取り、庭園として造成した。弥太郎亡き後も整備は進み、明治13年に『深川親睦園』として一応の完成をみる。
その後、関東大震災で被災したが広大な敷地は避難場所として役に立ったという。この防災の機能を重視した岩崎家は、東京市に公園用地として寄付し、現在に至る。