電車があるのにバスで県境越えだと!? 温泉地の珍路線・東海バスの熱海駅〜湯河原駅A51系統

そこそこ爽快なオーシャンビュー

 バスターミナルを出て400mくらい進んだ先のT字路を左折すると、A51系統のメインルートとなる国道135号線に出る。高台に敷かれ、地形に逆らわないようにしながらクネクネとカーブを描いているのが、バスが走行する区間の特徴だ。

 進行方向右側には相模灘が広がる。海と道路を挟んだ箇所に転落防止のフェンスや構造物、草木などが次々と現れるため「絶景」と表現するのはさすがに止めておくべきだろうが、そこそこ爽快なオーシャンビューが車窓から楽しめる。

景観的にフェンスがちょっと惜しい!?
景観的にフェンスがちょっと惜しい!?

 バスが進むにつれ、お客さんが一人また一人と降りていく。やはり熱海〜湯河原の間のアクセス用に設けられた路線なのだろう。そうこうしているうちに静岡県内で貸切状態となった。

川が県境越えのサイン

 海が見え隠れする国道135号線のカーブを順次クリアしながらバスは走る。始点から約5.7km進んだ郷清水(ごうしみず)バス停を後にすると、次の停車ポイントは神奈川県内となる。

 静岡県側から向かう場合、神奈川県を示す標識類は道路付近に掲示されていないようだ。郷清水バス停から約450m先にかかる千歳橋を横切る千歳川に、静岡県と神奈川県の県境が引かれているので、その付近を目安にすると分かりやすい。

 神奈川県に入って2番目の門川バス停で6名ほど乗車があった。A51系統は神奈川県内での湯河原駅へのアクセス手段としての役割も担っているようだ。門川からおよそ5分で湯河原駅バスターミナルに到着、約20分の県境越えバス旅が無事終了した。

 湯河原駅バスターミナルとJR湯河原駅は隣接していて、バスを降りた後の足には困らない。そのままJRで帰るのも途中で寄り道するのも自由自在、バスを乗り換えて湯河原の温泉街を目指すのもまた一興だ。

 本数の少なさが利用難度を上げているものの、バス路線自体のクセは少なく乗りやすい。短い時間の中で県境越えをしつつ、海を眺めて車内で過ごす“ちょいリゾート”感覚にまで浸れてしまう、何気によくばりな路線だ。

【バス路線の基本データ】
東海バス A51系統 熱海駅 → 湯河原駅行き
・跨ぐ県:静岡県 → 神奈川県
・移動距離:約7.7km
・所要時間:約20分
・運賃:390円
・停留所の数:23箇所
・神奈川県内の区間距離:約1.4km
・神奈川県内の停留所の数:5カ所

【画像ギャラリー】海を見ながら静岡から神奈川へ! 東海バスA51系統(6枚)画像ギャラリー

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