代替バスなのに県境まで越える!! 三江線代替バス 赤名〜三次駅前

代替路線群初の大型路線車

 話を備北交通赤名線に戻そう。元国鉄/JRの赤名駅・備北交通での「赤名」停留所には、自動車線時代に建てられた駅舎が待合室としてそのまま使われている。

 昔の鉄道駅でよく見かけた、カラフルなプラスチック製の丸っこいベンチや切符売り場窓口が今も残っており、トイレも利用可能であった。

 出発の2分ほど前、構内ロータリーを大きく旋回して、三次駅前経由であることを併せて表示した「三好中央病院」行きのバスが入線してきた。

赤名は赤名線の始発停留所になっている
赤名は赤名線の始発停留所になっている

 中型路線車→マイクロ→マイクロ→マイクロ→小型路線車と乗り継いできて、三江線代替バスでは初の大型路線車、しかもハイブリッドだ。

 ちなみに、前回紹介した三次方面へ向かうもう一方の備北交通 作木線には小型バス(ポンチョ)が頻繁に入るようだ。代替路線バス群の中で、大型路線車は赤名線が唯一かも知れない。

 赤名線では交通系ICカードが使える。運転手さんのトイレ休憩をはさみ、時刻通りの14:30に赤名停留所を発車、右へ曲がり国道54号線を南下し始める。赤名出発の時点で他の利用者はいなかった。

トンネルの中が県境!!

 緩やかな上り坂の国道を進むにつれて勾配がきつくなっていく。古くから交通の要であると同時に難所と謳われた「赤名峠」の区間に差し掛かるためだ。

 当日の赤名停留所周辺の気温は2度C。バスに乗車してすぐ雨がぱらつき出したが、勾配を上るにつれて綿花のような雪に変わった。

 赤名から4.5kmほど進んだ標高約550mの頂上付近には、全長およそ600mの赤名トンネルが通っている。

 島根県と広島県の県境はこのトンネルの中に位置している。バスがトンネルに入って少し進んだ先が県境越えの目安と思えば丁度良い。

 広島県に入りトンネルを抜けると下り坂へと転じ、三次の町近くまでずっと続く。途中で赤名行きの便とすれ違った。同じハイブリッド大型路線車が使われており、どうやら赤名線の定番車種らしい。

 ハイブリッド仕様の路線バスと言えば、漠然と街中の平坦な道を走る印象が深いせいか、峠道でも構わず淡々と進む姿に新鮮味を感じてしまった。

枝分かれして、また一つに

 赤名から14kmくらい進んだ先に、国道54号線と県道62号線が交わる丁字路「作木わかれ」がある。

 ここで備北交通赤名線と作木線が合流し、道の駅グリーンロード大和で枝分かれした代替バスの経路が再び一つに戻る。

 約25km地点に到達する頃には400m近い高低差を降り、ほぼ平坦な道へと変わる。国道54号線から国道375号線にバスが経路を移すと三次の町に入る。

 町の中心部を通るように進んでいき、進行方向右側に三江線のガーダー橋跡を臨みつつ、町中を貫く馬洗川に架かる巴橋を渡ると、15:18に代替バスとしての終点、三次駅前に到着する。

 バスの終点は三次中央病院なので、備北交通 赤名線としては通し乗車ではなく途中下車するかたちだ。所要時間約48分、後払い方式で運賃は1,040円だ。

三次駅では路線バスや高速バス、JR線への乗り換えができる
三次駅では路線バスや高速バス、JR線への乗り換えができる

 この日は天候が良くなかったせいか、赤名〜三次駅前間で他の利用者は結局ゼロのままだった。

【バス路線の基本データ】
備北交通 赤名線 赤名→三次駅前(三次中央病院行き)
・跨ぐ県:島根県→広島県
・移動距離:約30km
・所要時間:約46分
・運賃:1,040円
・停留所の数:48箇所
・島根県内の区間距離:約4.8km
・島根県内の停留所の数:8カ所

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