地方色豊かなコミュニティの乗りバスが楽しすぎる!? 知多半島を走る「ゆめころん」の責務はガチだ!!

■誕生までの試行錯誤と紆余曲折!?

地方の自治体が大変なのはどこも同じ
地方の自治体が大変なのはどこも同じ

 そんな経験を経て再び住民の要望により平成22年7月より試行運行スタートとなったわけであるが、過去の教訓から様々な努力が重ねられてきたという。まずは「武豊町コミュニティバス利用促進友の会」が発足した。

 ここを基点としてコミュニティバス自体が住民のコミュニティの場として活用してもらえるようにと住民と行政、運行事業者が協力してバスを使ったミステリーツアー、観光ボランティアが同乗して町内の名所をめぐるツアーを開催したり、コミュニティバスに乗って町内の店舗や施設を回ってスタンプを集めると景品と交換できるスタンプラリーを実施したりした。

2ルートが並ぶ
2ルートが並ぶ

 またイベント開催時にモニター乗車をしてもらいアンケート調査を実施、バスに関心がなかった人にも情報発信することなど、町民に知ってもらう努力を継続して行ってきたという。さらにバス停には住民手作りのベンチを設置して、みんなで守るバス路線という形を示してきた。

 そして試行運行の後、平成23年にはバスの愛称が一般公募により「ゆめころん」に決まり、バスにもラッピングが施された。かわいらしく、子供にも覚えやすいということで、この愛称に決まったとのことである。

 その後に開催されたコミュニティバスのイベントには筆者も何度か参加していて、フォトコンテストでコミュバス友の会賞を受賞したこともあり思い出深い。

■ピンクのバスが走る「赤ルート」

赤ルートにはピンクのポンチョ
赤ルートにはピンクのポンチョ

 実際に乗車してみた。先述の通り、2台のバスが町内を走行している。ピンク色のバスと青色のバスがそれぞれ赤ルート、青ルートとして1日9便運行される。なお運行担当は知多バスが受託している。

 武豊町北部にある名鉄青山駅からは、ゆめころんの他にも知多バス、半田市のコミュニティバス2路線とも接続していて、あらかじめダイヤを調べておけば知多半島を横断することも可能だ。しばらく待っているとピンク色のバスがやってきた。乗車すると運転席横に運賃箱があり先払だ。

 運賃は1乗車100円の均一制である。また年末年始を除く毎日運行である点もありがたい。乗車してみると意外と乗客数が多く、座席はすぐにいっぱいになった。

 コミュニティバスでこんなに混雑しているのは大都市以外ではあまり経験がない。またバス停名称は主に地名だが、施設名称であったり病院や店舗の名称も多く使われており、分かりやすいものとなっている。

■「青ルート」にはもちろん青いバス!!

青ルートにはブルーのポンチョ
青ルートにはブルーのポンチョ

 続いてJR武豊駅からは青ルートのバスに乗車した。赤ルートとは違い、1扉のバス(ショートボデー)である。そして側面にはかわいいキャラクターがラッピングされている。ピンクのバスに描かれていたのは武豊町のマスコットキャラクター「みそたろう」だった。

 青のバスに描かれているのは知多半島で活動している若者支援と地域活性をミックスしたキャラクター&声優ユニット「知多娘。」の武豊町を担当しているキャラクター、武豊乙姫ちゃんである。

なかなかファンシーな停留所
なかなかファンシーな停留所

 「知多娘。」の武豊乙姫ちゃんは「ゆめころん」へも積極的にコラボを行っておりラッピングのほか、バス停でもイラストを見ることができる。車内では武豊乙姫役で武豊町の観光大使も務めている栗田ももさんがキャラクターの声でアナウンスを行っている。

 なんと「ゆめころんのうた」というCDも発売しており、当該曲の踊ってみた動画が武豊町のYouTubeで公開されている等、バスの利用促進とPRに一役かっているので一度ご覧いただければ雰囲気がわかるだろう。

 件の青ルートは「地域交流センター・転車台」バス停で下車した。ここには交差点角に転車台が置かれている。これは旧国鉄武豊線が明治19年に東海道本線の建設のための資材を港から運ぶために武豊停車場が置かれた転車台を復元したものである。

 台車に敷かれたレールが直線二線式というとても珍しいものであるという。旧国鉄武豊線は愛知県下で最初の鉄道として開通したことから、武豊町は鉄道のまちともいわれている。

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