ひと晩、もしくはそれ以上かけて、遠く離れた場所同士を結ぶ長距離カーフェリー。どこのカーフェリーも利用にマイカー必須というわけではいが、クルマなしの場合フェリー乗り場へのアクセス手段が問題になってくる。
文・写真:中山修一
(大洗フェリーターミナルと周辺の公共交通の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■東京に一番近い北海道への海の入口
今回のテーマは茨城県にある大洗フェリーターミナル。大洗には北海道の苫小牧西港とを繋ぐ、太陽のマークが伝統的なシンボルのカーフェリー「さんふらわあ」が就航している。
2024年現在、大洗港は東京から最も近い北海道への海路の玄関口にあたる。とはいえ120kmくらい離れた場所が直近というのもヘンな気がしなくもない。ではどうして大洗なのか。実は元々、東京〜苫小牧航路があった。
ところが房総半島を迂回する関係で時間がかかってしまう。「カーフェリー」と言っても需要は旅客よりも貨物の方が大きく、それなら房総半島の手前で寄港して、積荷を陸送した方が早いため、大洗が選ばれた経緯があるそう。東京〜苫小牧航路は1999年まで運航していた。
■夕方と深夜の2本立て
現在、大洗〜苫小牧航路には、旅行者に使いやすいダイヤ設定の夕方便と、どちらかといえばトラックなど貨物輸送に特化した深夜便、合わせて2便が就航している。
それぞれの出発時刻と、苫小牧から来た便の到着時刻を記すと
出発 苫小牧行き
・夕方便 19:45(17:30)
・深夜便 01:45(22:30)
到着 大洗行き
・夕方便 14:00
・深夜便 19:30
のような感じ。出発便のカッコ内は、クルマなしで利用する際に、遅くともフェリーターミナルへ着いて乗船手続きを済ませておきたい、フェリー会社が推奨している時間の目安だ。
■言うなれば徒歩圏内
さて、肝心の大洗フェリーターミナルはどこにあるのか。大洗を冠するだけに最寄駅は鹿島臨海鉄道の「大洗駅」で、駅からターミナルまで約1.4kmと、大きな荷物を持っていなければ無理なく歩いて行ける。
しかしながらターミナルの目の前まで乗り物で行ければ尚良いわけで、バス停でも置いてないかと注目すれば、ターミナル出入口の前にちゃんと「大洗フェリーターミナル」停留所があった。
どんなバスが来るのか。遠い場所から見ていくと、注目すべきは東京〜水戸を結ぶ高速バス「みと号」のうち、大洗フェリーターミナルまで出張してくる便だ。
東京からの直行バスなんて便利な乗り物が出ていたとは驚き!? だったのも今や過去の話。ターミナル出張便はコロナ騒ぎの渦中に運休して以降、それっきりになっている。
■2路線が出入りしてます
2024年現在のところ、大洗フェリーターミナルのバス停には、茨城交通「50系統」と、循環バス「大洗サンビーチルート 海遊号」の2路線が出入りしている。
50系統は水戸駅(駅から5kmほど先の営業所始発が多め)と、ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅とを結ぶ一般路線バス。一部の便が大洗フェリーターミナルに立ち寄る。
船の出港直前と到着直後を除けば、利用客があまりいないフェリーターミナルの性質上、船のダイヤにある程度リンクする時間帯のみバスが設定されている。
出港に合わせているのが夕方便2本(うち1本はギリギリかも)・深夜便1本、到着に合わせたバスは夕方便・深夜便ともに1本ずつとなっている。
出発・到着いずれの場合も、水戸駅北口での乗車/降車が特に便利な経由地といえる。那珂湊駅〜大洗フェリーターミナル間に関しては、フェリーとの接続は殆ど考慮されていない。
一方の循環バスは出港/到着それぞれの時間に合わせて各1本ずつが大洗フェリーターミナルを通る。循環バス利用の際は大洗駅のバス停が主な乗車/降車ポイントになる。
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