■なぜレアなのかは天神で証明?
ところで西鉄天神高速バスターミナルのバス専用出入口付近はバスマニアにとって絶好の高速バス撮影スポットである。西鉄に限らず福岡に乗り入れる多くの事業者のバスが撮影できるポイントなのだが、乗車した2号車が入構する際には撮りバスさんたちが一斉にシャッターを切っていたので、最初の命題への解答になるが、2号車のレア度が証明された格好だ。
終点でトランクから荷物を受け取った乗客はそれぞれの目的地へと向かって足早にターミナルを出て行った。時間としてはお昼前であり、バスターミナルにはこれから各方面へ向かうためバスの到着を待つ乗客で賑わっていた。
■結局「はかた号」って…
ということで今回は東京と九州を結ぶはかた号に乗車した。インターネットで「はかた号」を検索すると「辛い」「地獄」「大変」などネガティブな言葉が並ぶ。それはなんといっても運行距離と乗車時間の長さからくる刷り込みからなのだろう。
確かに高速バスのイメージとしてよく言われるのは、狭さや移動ができないことによるストレスであるが、必ずしも全てにおいてそう言えるのだろうか。
今回利用したプレミアムシートについては、これ以上ない贅沢な設備とゆったりとした座席、個室というプライベートな空間がしっかり確保されていてとても快適な乗車だった。乗車時間も他の高速夜行バスよりも圧倒的に長い。
通常なら早朝に到着するので寝不足気味ということもあるが、はかた号に関しては最初の停車地である小倉駅前でも9時51分着で約13時間もある。筆者の普段の睡眠時間は6~7時間なのでこれだけ就寝時間に当てられるのはかなりうれしいことだ。むしろ十分に休息を取れる有意義な時間なのではないだろうか。
■はかた号はやはりキングオブ深夜バスで間違いなかった!
余談だが、西鉄天神高速バスターミナルに到着する際のスロープ道路前で横断幕を持った集団を見かけた。最初は分からなかったがよく見ると「○○さん定年退職おめでとうございます」「○○さん頑張って」という文字が見えた。どうやら、当便の運転士が本日の運行をもって定年退職を迎えるようで、そのサプライズのために到着を待っていたようだ。
会社の関係者なのか身内の方なのかはわからない。また列車や航空機で語られるエピソードのように最後の挨拶のようなアナウンスがあるのかと考えたが、終点の博多バスターミナルまでそのような放送はなかった。
昨今の事情でバス車内には乗務員の氏名プレート掲示がなくなったため、降車後に話を聞くことはできなかったが、きっとこの日を迎えるまで何十年も勤務され、日夜何十万キロという距離を安全安心な運転で乗客を目的地まで運んだのだろう。そう思うと、この方の運転で乗車するバスはこれが最初で最後になるのだろうが、感慨深く心の中で感謝の意を表さずにはいられなかった。
はかた号が「キング・オブ・深夜バス」と呼ばれるのであれば、担当する運転士は「キング・オブ・運転士」と呼んでも差し支えないだろう。そんな日本屈指の距離であり、日本屈指のプロドライバーが運転する、日本屈指の高速夜行バスを、日本屈指の乗車時間で満喫してみてはいかがだろうか。
【画像ギャラリー】はかた号は本物の「キングオブ深夜バス」だったってマジ?2号車先行で福岡へ!(19枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方