クルマで行くのも大変なことが多いカーフェリー乗り場……徒歩でアクセスってできるの?

■フェリー乗り場への公共アクセスといえば……

 フェリー乗り場への公共アクセスとなれば、バスを使う場合が非常に多い。ことに天草の公共交通はタクシーと飛行機以外はバスしかないため、どっちに転んでもバス一択になる。

 天草市街地の公共交通の拠点は「本渡バスセンター」。バスがあるとすればココが始発になっていると予想して、とりあえず路線一覧を眺めてみる。

天草市街地にある本渡バスセンター
天草市街地にある本渡バスセンター

 「鬼池港線」を名乗るバス路線はないようで、となれば別の路線名のバスが途中で港に寄る可能性は捨てきれない……じっくり目を通せば願ったり叶ったり、鬼池港へ行く路線が2つ見つかった。

 いずれも産交バスが運行している路線バスで、一つ目は「本渡通詞線」。よくよく見ると終点が鬼池港になっていて、路線名と目的地が一致しないタイプの路線だった。本数は1日5本。

 二つ目には路線名がなく、富岡港行きと書いてあるバスが、途中で鬼池港に立ち寄る。本渡通詞線よりも本数が多く、両者合わせると大体1時間に1本のペースでバスがあり、それなら行けなくはなさそう。

 ところが、バスもフェリーも本数が限られているので、どれも普通に接続するだろと思いきや、待ち時間が12分だったり50分だったり、便によっては2時間以上開いてしまったりと、かなりバラバラ。

 猶予が2分とか5分とかの便もあったが、島原鉄道フェリーの公式接続対応表を見ると、待ち時間が10分を切るタイミングのバスは対象外になっていて、これは乗り継ぎ不可と思っておくのが良さそう。

 バス/フェリーともに、ある程度狙って乗らないとキレイに繋がらない間柄とみて、ここは事前に調べておくのが無難だったようだ。

■天草では異端のバス?

 当日はバスを降りてフェリーが出帆するまで22分の猶予がある、本渡バスターミナルを10時台に出る便を選んだ。

 天草周辺の路線バスは、マイクロバスよりも少しサイズの大きい、いわゆる小型路線車が主力で活躍している。

 そんな中、バスセンターにやって来た鬼池港経由富岡港行きのバスは、全長9mクラスの中型路線車・日野レインボーだった。

鬼池港経由のバスが乗り場に入線
鬼池港経由のバスが乗り場に入線

 小型路線車勢が占める天草に、まさか中型路線車が在籍していたとは意外。これはこれで場所柄の物珍しさを感じた。

■港までのプチトリップ

 距離が少しあるため、後ろ乗り、前降りの運賃変動制が採られているのは全国的によく見られる運賃収受方式だ。

 運賃は交通系ICカード(2024年11月以降は利用不可)と、くまモンのICカード、現金から支払い方法を選べる。

 このほかに、バスセンターに券売機が置かれていて、紙の切符を買って乗るのもOK。

切符があるなら買うしかない
切符があるなら買うしかない

 首都圏のバスに慣れていると、紙のバスの切符は珍しい気がして、1枚買うだけでちょっとしたイベントになってくれる。鬼池港までは600円。

 バスが出発すると、天草の主要道路である国道324号線をメインルートに進んでいく。海岸線からやや奥まった場所に道路が敷かれている立地上、車窓からの景色は緑が中心。

 途中、「ここ通るの!?」と、運転手さんのドライブテクに感銘を受ける狭隘区間があり、車幅いっぱいのスレスレ感が見どころだ。

せまいところが大好き
せまいところが大好き

 鬼池港までの所要時間は28分。プチサイズのローカル路線バス旅といったところ。

 とにかくバスを使って目的の港まで来られたので、島原鉄道フェリーに徒歩乗船したい願望は、多少の下調べ推奨といえど、特に問題なく叶えられると実証できた。

鬼池港に到着後、バスはそのまま富岡港を目指す
鬼池港に到着後、バスはそのまま富岡港を目指す

 ところで、元々5人くらいしか乗っていなかったのもあるにせよ、鬼池港で降りた他のお客さん誰もいなかったんだよねぇ。乗り場にマイカーやトラックは何台か停まっていたゆえ、フェリーってやっぱりクルマで来て乗るのが普通なのかしら??

【画像ギャラリー】バスで行く有明海最果てのフェリー乗り場(11枚)画像ギャラリー

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。