■巡礼地は多い?
折り返しのバスに乗車して熊野市駅前で下車した。こちらには筆者のほか磯崎港から数人の乗車があった。駅前だがとにかく人が少ない。主な移動手段が自家用車となっていることや、名古屋からの朝一番の特急南紀1号では熊野市には11時13分着である。前泊以外はまだ観光客がたどり着いていない時間なのだ。市内の観光や巡礼を楽しみ、お昼のバスに再び乗車した。
次にやってきたのは先ほど乗車したのとは違うラッピングだ。このバスは南紀1号から9分で接続しているので、多くの乗車があった。座席はあっという間に埋まり、満員で出発した。右手に熊野灘を見ながらカーブの続く道を走行する。少しずつ車内の乗客が減っていく中で、ようやく目的のバス停が見えてきた。熊野市駅前から約20分で「波田須小学校前」に到着した。
約半分の乗客が下車した。見渡す限りのどかな空気の流れる海と急斜面山地に挟まれた場所で、ここも巡礼スポットになっている。バス停にある「波田須小学校」はバス停から坂を上がったところだが、現在は休校中ということで内部に入ることはできない。ただ建物は作品に登場する波路中学校のモデルになっているので訪れる人は多い。
そしてバス停をよくみると、三重交通のバス停のデザインとは異なるものだ。これは今回の「凪のあすから×熊野市2025コラボ施策」の1つで、ラッピングバスの運行に合わせて路線上の4つのバス停が作品に登場したデザインになっている。ファンとしてはなかなか嬉しいコラボレーションである。
■巡礼マップが存在する!
周辺の散策を楽しんだら次のバスでまた東へと向かう。次にやってきたのは朝に乗車した凪あすラッピングのバスだ。潮留美海と久沼さゆの2人によるアナウンスを楽しみながらやってきたのは「新鹿駅前」バス停である。駅前が突き当たりになるので、入口付近でバスを転回してバックで停車した。
当然コラボバス停である。バスはこの先の二木島駅で折り返して戻ってくるので、その間に付近を散策する予定だ。あらかじめ観光案内所でもらった巡礼マップを見ながら新鹿の町を歩いてみた。堤防道路沿いにある商店で飲み物を購入し、その近くにある新鹿の砂浜を眺めに行った。
夏には海水浴場にもなるが、ただ自然の景色が広がっただけのもので季節柄、誰もいない海をただ時間の流れにまかせてというのも癒される。再び駅に戻り、バスを待つ。JRで熊野市に戻ってもよいが12時33分の次が16時23分と約4時間も空くので、バス移動がよさそうである。
駅の窓口なのかと思われる場所のシャッターに書かれた「JR東海をよろしく」という文字が時間の流れが止まっているかのように思えた。当時を知る世代にしかわからない若者には謎の文言だろう。
■鬼ヶ城
しばらく待っていると先ほど乗車したバスが戻ってきた。バスはルートを逆に西へと向かう。乗客は筆者を含めて4人と少ないのだが、車内がそもそも広いというわけではないので、どちらかというと座席の狭さを先に感じてしまう。
勾配やカーブに揺られること約25分で「鬼ヶ城東口」バス停に到着した。ここで今回の熊野市バスの乗車は終わりだ。せっかくここまで来たので、鬼ヶ城を見ていくこととした。熊野市の海岸景勝地であり、国の名勝・天然記念物に指定されている。地震による隆起や風化と熊野灘からの波の浸食により造り出された大岸壁で約1.2km続いている。
遊歩道が整備され、大小無数の洞窟や奇岩奇勝を楽しむことができるという。鬼ヶ城といっても何か城壁や天守閣などがあるわけではないが、数百年かけて造り出された自然の造形美をぜひご覧いただきたい。
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