■週2日でもOKなの?
この中で最も表示された時給が高かったのが京成バスだった。情報へのアクセスも容易で、パート運転士(週20時間未満)の条件で時給は1550円、賞与はなし。社会保険加入もなしだ。社会保険は週20時間未満なので、これで問題はない。
他の正業を持つ方やリタイヤ組であれば社会保険は不要なので掛けてもらう必要はないし、法律上の問題もない。正業にしたいのであれば社会保険までしっかりと完備されている正社員を検討すべきだろうが、本稿の主旨ではないので別の機会にする。
京成バスのパート運転士における応募資格は2つだけだ。過去5年間免許停止がなく累積点数が2点以下の方で大型二種免許所持者ということだ。勤務形態は週2日からOKとのことで勤務日は応相談、一般的な福利厚生は京成電鉄グループなので正社員しか利用できない項目もあるが、勤務に必要な福利厚生は一通りそろっているようだ。
■実技試験がある!
採用試験の内容は適性検査、面接試験、実技試験となっており、実技試験がどのような内容なのかの詳細は記されていない。応募前に問い合わせてみるといいだろう。
応募条件を額面通り受け取ると、週2日から20時間未満で仮に半分の10時間乗務すると単純に6万2000円の月収ということになる(手取りの意味ではない)。バイトは副業的な位置付けで運転士をするのであれば悪くはない。もちろん、ほかの拘束時間がどうなっているのかはわからないが、ハンドル時間を10時間とした場合だ。
■フジエクスプレスは具体的に2種類
港区のフジエクスプレスはパートタイム社員として2種類の契約方法を提示している。いずれも契約期間は1年で、1日の勤務時間は基本4時間と短いが、ラッシュ時の朝・夜が多いと明記されている。フルタイムではないが、一定日数の勤務が必要なのだろう。
休日は月8日で年間96日の形態だと時給は1500円、年間休日が120日(平日のみの勤務)だと時給は1300円になっている。社会保険は条件を満たせば加入する制度なので、応募者の希望を考慮して勤務形態が決まる方式のようだ。
■本当に不足するのはラッシュ時?
都市部と地方とでは若干異なることもあるだろうが、本当に運転士が不足して日常生活に影響がでるのは朝夕のラッシュ時間帯だ。住宅地から駅までのフィーダー線を主に担う路線バスではラッシュ時間帯の通勤通学需要さえきっちりと輸送できれば、日中はまだ何とかやりくりできるだろう。
よって、朝晩だけハンドルを握ってくれる運転士が多くいればまだ何とか減便せずに回せる地域もある。しかし事業者としては乗務員の人数が増えて管理が大変になるというジレンマもある。そうはいっても現に減便や路線廃止しなければならないところまで来ているのは周知の事実だ。
事業者も現実に即して免許を持つ人に広く「助っ人」を頼む採用方式を取り入れていかないと、自家用車シフトが進み二度とバスには戻らなくなる可能性が高い。
事情をよく知る現役の正社員男性運転士は「子育て中の女性が旦那さんや子供さんを送り出してから日中の乗務について、お迎えで退勤していくのもありがたいですし、旦那さんが自宅リモート勤務になったことから家庭で調整を付けて、ラッシュ時にハンドルを握ってくれるママさん運転士もありがたいですね」
「女性らしいと言えば昨今はいけないのかもしれませんが、やはり女性らしい細やかな気配りは男性運転士には真似ができない見事な点があるのも事実です。そういった多様な勤務があってもいいのではないかと思いますし、そうでなければ、もはやダイヤを守ることはできない状況です」と語ってくれたのが印象的だった。
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