開業してから1年足らずで運行停止となった悲運の高速バス「天羽日東バス」

開業してから1年足らずで運行停止となった悲運のバス「天羽日東バス」

 天羽日東バスは1994年に本体の日東交通から分離し、2017年に再び本体へ吸収された事業者。この千葉行きは同社唯一の高速路線だった。金谷から東京湾を眺めると、対岸の神奈川県や富士山が美しく映える。

 ここから神奈川県へは、直線距離は近いがなにしろ広い千葉県、県庁のある千葉へはなかすなかに遠い。そして房総への高速道も遅ればせながら開通しつつある中、千葉行直通高速バスが開業した。

●天羽日東バス(日東交通、千葉中央バス)
 東京湾フェリー前・竹岡・上総湊駅〜千葉
 乗車・撮影日2005年2月

(記事の内容は、2020年11月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2020年11月発売《バスマガジンvol.104》『思い出の長距離バス』より

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■田園風景がいきなり住宅地に変わり首都圏を実感する車窓

オリジナルカラーの天羽日東バス

 金谷の東京湾フェリー前を出ると一般国道127号線を北上する。東京湾の静かな内海沿いを走るが、比較的狭く交通量も多い。高速道も房総半島の南エリアまで延伸したが、まだこの区間だけは未開通だからだろうか。

 竹岡の街に入ると漁港があり、キス、アオリイカ、サヨリなどが漁獲され東京の江戸前寿司店へ納品される。もうひとつ、竹岡ラーメンは東京味のしょうゆ風味だが、玉ねぎが入っているのが特徴で、乗車前日に味わってみた。もちろん大満足だった。

 竹岡では路上にあるバス停からは地元の人々が乗車してくる。発車すると次の街は上総湊。駅前には天羽日東バスターミナルと車庫がある。ここからも待っていた乗客が多数乗り込み、高速へと進入する。

相手会社、千葉中央バスの車両

 金田に立ち寄った後、アクアラインへ向かうバスや乗用車が左へと分離していく。一旦交通量は少なくなり、山間部から田園地帯となる。田畑の向こうに工業地域を望む。煙突から白い煙が登り朝から活気があって勇ましい。

 そうこうするうちに田園風景がいきなり住宅地となり、ここは首都圏近郊なんだな、と実感する。頭上の電光掲示板には渋滞情報が次々と更新される。これを見るとバス利用を控えたほうがいいのでは、と思う乗客もいることだろう。

 さらに高い防音壁が外の眺めをシャットアウトし、バス利用のつまらなさを物語るかのように思えてしまう時間もある。

 そしていよいよ、その先に待っていた渋滞の最後尾が見えたが、それを無視するかのようにバスは高速を降りた。常にこの辺りから渋滞が始まる情報が定着し、それに引っかからないルートを運行するという、定期バス運行開始前に行った調査の成果が伺える。

■地元の利用者にとっては便利な東京への足として機能する

共同運行、日東交通の車両

 すでに千葉市内であり県庁では約半数の人が降車し、定時に到着している。多くの千葉行き路線バスとともに市内を走り、道路の突き当りには千葉駅が見えてきた。

 2004年に開業して以来、1年もしないうちに運行はとりやめとなった。いまはなき天羽日東バスにとっては唯一の高速路線として歴史に残る路線と言えよう。

 人の流れを聞いてみると、県庁所在地千葉を通り過ぎ東京へ向かう人が多く利用者が延びず残念に思う。

 現在では館山道が全通し、東京行「なのはな号」が朝便を中心とする半数近くの便が、一般国道を経由して竹岡、上総湊の街に停車するため、地元の人たちにとっては千葉行きをしのぐ便数があることになり、東京への便利な足として活躍している。

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