路線バスや観光バスにはさまざまな車載用品が搭載されている。この企画は車載用品にフォーカスし、その奥深い世界を知ろうというものである。
今回は運賃箱製造を行う小田原機器を訪ね、機材を見せてもらった。事業者個々でそれぞれ強いこだわりの部分があり、オーダーメイドとなるといっていいのが運賃箱。最新機種では単に運賃を回収するだけの機械ではなくなっており、その進化は続いている。
(記事の内容は、2018年1月現在のものです)
執筆/小林敦志
※2018年1月発売《バスマガジンvol.87》『バス用品探訪』より
■単なる運賃箱の枠を超え留まることなく進化する
日常生活で路線バスを利用すれば必ず目にするのが運賃箱。現金だけでなく、ICカードの利用やチャージ、さらに機種によっては回数券あるいは1日乗車券の発券などまで可能となる多機能ぶりは、日本ならではのものといっても過言ではない。
今回はそんな運賃箱について、国内シェアで約半数を占める小田原機器を訪れ、話を聞いた。
まず驚かされたのが、各バス事業者で細かい“こだわり”があり、それぞれの運賃箱に反映されているということ。そのためオーダーメイド感覚で運賃箱の製造が進められるとのことである。
例えば、整理券発行機には、主流の感熱式ではなく、いまだにスタンプ式にこだわる事業者もあるとのことである。今回紹介する運賃箱の最新機種では多言語表示にこだわったものになっていたりしている。
もうひとつ驚いたのが、運賃箱という枠を超えて進化しているということ。“音声合成システム”と情報共有することで利便性を大幅改善するだけでなく、金庫に利用者数や運賃売り上げなどのデータの記録が可能となっており、納金と同時に記録データを回収することで、運行ダイヤの作成などに生かされている。
今後は顔認証システムを導入した運賃収受システムなどの登場も十分ありうるとのことなので、運賃箱の進化は今後ますます目が離せないといえるだろう。
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