車掌の遵守事項は6つ
さらに第51条には車掌の遵守事項として6項目が規定されている。各号のカッコ内は記者注。
一般乗合旅客自動車運送事業者、一般貸切旅客自動車運送事業者及び特定旅客自動車運送事業者の事業用自動車(乗車定員11人以上のものに限る。)の車掌は、乗務中次に掲げる事項を遵守しなければならない。
1.警報装置の設備がない踏切又は踏切警手が配置されていない踏切を通過しようとするときは、踏切前で降車し、運行の安全を確認して運転者を誘導すること。(警報機のない踏切は車掌が降りて安全確認をしたうえでバスを誘導しなさい)
2.事業用自動車の故障等により踏切内で運行不能となつたときは、速やかに、旅客を誘導して退避させるとともに、列車に対し適切な防護措置をとること。(踏切内で立ち往生した時はお客さんを退避させて列車防護をしなさい)
3.事業用自動車を後退させようとするときは、降車し、路肩又は障害物との間隔及び路面その他の道路の状況を運転者に通告するとともに誘導すること。(バスをバックさせるときは車掌が誘導しなさい)
4.発車の合図は、旅客の安全及び事業用自動車の左側に、その運行に支障がないことを確認し、かつ、乗降口の扉を閉じた後に行うこと。(発車は安全を確認してドア扱いをした後に運転士に発車合図を出しなさい)
5.乗降口の扉は、停車前に旅客の乗降のために開かないこと。(バスが完全に停車する前にドア扱いをしてはいけません)
6.車掌の業務の実施に円滑を欠くおそれがある服装をしないこと。(車掌業務に支障がある服で乗務してはいけません)
と、服装にまで規定があることにおどろく。それよりも、これら車掌の遵守事項はワンマンバスの場合、すべて運転士が行わなければならないことなのだ。ワンマン用のさまざまな機器がは運転士が車掌業務を兼務する支援をしてくれるものの、いかにやることが多いかが分かるだろう。
他にも運賃収受やドア扱いも!
当時の車掌はこれら法令で定められた安全に関する業務を行いながら、車内では運賃収受や乗車券の発行、ドア扱いや案内放送や発車合図まで行った。鉄道の車掌とほぼ同じだ。最近は鉄道でもワンマン化が進みつつあり、技術の進歩に伴い無人の遠隔自動運転が現実になりつつある。
バスの世界では古い貸切バスの乗務員名札差しに「車掌」の文字が残る程度だ。広義ではバスガイドが行っている業務は車掌だが、現在ではガイド込みの運賃ではなく別建てになったことにより、バスガイドを乗務させずに貸切バスを運行することが可能になった。
日本では見ることがなくなったバスの車掌だが、海外ではまだ車掌が乗務してロール状の乗車券にパンチを入れて発行する国もあるので、海外に行く機会があれば車掌乗務のバスに乗ることができるかもしれない。
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