エコが叫ばれるなかバスにもその波は押し寄せている。ハイブリッドは当然だが、水素燃料電池やバッテリーEVなどさまざまなパワートレインがバスにも採用されてきた。しかしそもそも気になるのがバスの燃費。いくらディーゼルエンジンでもあれだけの巨体を動かすにはかなりの燃料がいるだろう。現状としてバスはどれくらいの燃費で走っているのか、迫ってみた。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】リッター何キロ!? バスの燃費ってどれくらいなのか(3枚)画像ギャラリー現実は3-5km/lか?
バスには路線バスタイプから高速バスタイプまでさまざまで、エンジンやギア設定も異なり、同じ車種でも性能は異なるものもある。また乗客数や事業者により内装や設備が異なるので一概には言えない。しかし現在のバスの燃費はざっくり言ってと3-5km/l程度だ。これは路線車でも高速車でも実はそう大きくは変わらない。
もちろんバスの世界にもハイブリッド車はあるし、連節車やダブルデッカー車も存在するので、そのような特殊な事情は除くとしてもそんなものだ。「そんな燃費の悪い自動車が走り回っているのか!」と思われるかもしれないが、燃料は幸いにも軽油なので日本ではガソリンよりも安い。
また一度に乗る乗客数が最大30名から70名程度なので、乗用車の4名から10名と比較すると、乗車1名当たりの消費燃料としてはそれほど悪くはない。これは10トン級の荷物を一度に運ぶトラックでも同じことが言える。
カタログ値は?
乗用車と同様にバスにもカタログがあり燃費が記載されているが、こちらの数値はどうなっているのか確認してみた。例として三菱ふそうのスーパーハイデッカー車「エアロクイーン」の場合、車両総重量(お客さんの数や装備の違いによる)により異なるが、7697ccの381馬力エンジンを積んだ場合の燃費は4.3-4.9km/lだった。
燃料タンクは405リットルなのでエアコン使用や休憩時のアイドリング、一般道を走る際の燃費の悪さを考慮しても理論上は1600kmは走れる計算だ。(現実にはトイレや交代乗務員の仮眠室がある場合はそこまで走れない)
路線車の「エアロスター」の場合は、タイプにより異なるが都市型11mのノンステップ車で4.3-4.45km/lだった。エンジンは270馬力の7545ccを積んだ場合だ。
カタログからもそれほど変わらないように見えるが、実際にお客さんを乗せて路線特有のアップダウンや停留所間の距離、信号停車の多少等を加味すると燃費は事業者によりバラツキが出てくる。
バス乗車時に当該路線は燃費が良さそうなのか悪そうなのかを考えながら乗るとメーカーや事業者、運転士の苦労が多少なりとも理解できるかもしれない。
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