大抵の乗り物は、型式や愛称などの呼び名を持っている。バスも同様のはずだが、普通乗用車のようなカジュアルさは薄く、そもそも車両の名前自体を知らない、なんてことも普通だ。それはなぜか……ほかの乗り物と比較してみると、それとなく理由が見えてくる。
文・写真:中山修一
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■外から呼び名をアピール
乗り物の呼び名で特に浸透度の高いジャンルといえば鉄道だろう。大抵の鉄道車両は車体に「N700S」や「クハネ285」などの型式が書いてある。それを見るだけで、その車両が何者なのかある程度分かる。
型式だけでなく、一部の車両に対しては、「のぞみ」や「サンライズ」といった列車名のほか、「GSE」・「ドクターイエロー」のような車両の愛称をベースに区別しても構わない。
型式、列車名、愛称など、様々な呼び方を持っているのが、鉄道のとっつき易さへと繋がっているようだ。
一方で旅客機に注目すると、全ての機材に当てはまるわけではないものの、胴体の前か後ろに機種名が書かれていることが多い。
そこを見れば、機体の形状からでは機種が分からなくても、どこのメーカーが作った何という名前の飛行機かが容易に判別できる。
民間向けの船舶はどうかと言えば、型式を使うことはあまりなく、船名で呼ぶのが一般的だ。どの船にも前と後ろに船名が大書きされているため、こちらも一目瞭然となっている。
■引っ込み思案なバス車両
外側に名前が書いてあれば、一度確認が取れた以降「あれは○○形だな」と言えるようになるが、バスも同じロジックで行けるだろうか?
公共交通機関に使う乗り物の中で、実はバスだけだいぶ異なり、車体の外側に車種名などの文字情報は記されていないのが普通だったりする。
車両本体の名称はおろか、普通乗用車なら前後に必ずと言って良いほど掲げられるメーカーエンブレムも無いほうが主流だ。
いくら車両を外から見回しても、名前が書かれていなければ知りようがなく、普段よく見かけるバス車両でも、呼び名が「○○(バス会社)のバス」止まりになってしまうのは致し方ない。
■一応ヒントがあるらしい
では、バス車両がいるその場で名前を知る手立ては皆無かと言えば、ヒントは一応ある。ただし車内に入るのが必須だ。
ほとんどの中型・大型のバス車両には、メーカーや製造年月を記した銘板(コーションプレートともいう)が、車内の前ドア付近に貼り付けてあり、銘板の項目に型式が含まれている。
貼り付け場所が場所だけに、営業運転中のバスでは相当確認しづらいのだが、その銘板から、バス車両の素性が分かるようになっている。
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