■これも“代替バス”……なのか?
当時の時刻表に掲載された情報を元にすると、立久恵線廃止後ほどなくして、出雲市〜出雲須佐間を結ぶ交通機関の種類が路線バスに代わっている。
2024年現在も同方面への公共交通機関は健在。地元のバス事業者である一畑バスが、ほぼ同じ区間を走る一般路線バスを運行している。
“代替バス”といえばそうかも知れないが、何しろ実質廃止(運休)となったのが東海道新幹線の開業前であり、すでに60年も経っているため、国鉄/JR系の鉄道転換バスに比べると代替感は薄い気がする。
■プチ循環する複雑怪奇な経路
今日の一畑バスの同路線名は、終着の出雲須佐にちなんだ「須佐線」となっている。途中で立久恵峡を通る経路は変わらず、最寄のバス停名は「立久恵峡」だ。
須佐線はなかなかトリッキーな経路を描くのが特徴。一畑バスの車庫が始発/終着ポイントになっており、バスが出発すると出雲市駅周辺を、循環バスのように周回してから立久恵峡方面へと向かう。その都合上2回通る停留所が何箇所かある。
出雲市から出雲須佐まで、道をまっすぐ行けば17kmくらいであるが、市内プチ循環を兼ねる関係で、実距離にすると24km程度まで走行距離が伸びる。
出雲市駅付近を周回した後は、立久恵狭方面へと続く国道184号線がメインルートになる。実はこの184号線、古い航空写真と現在の地図を照らし合わせると、一畑電鉄立久恵線の線路跡を転用している区間が結構あると気付く。
鉄の車輪からゴムタイヤに変わっても、通る場所は鉄道時代と大差ないらしい。線路の上をほぼトレースしていると考えれば、一畑バス須佐線が立久恵線の正統な末裔たる人物(車物?)像を持っているように見えてくる。
■で、なんて読む?
出雲市駅→立久恵狭までの所要時間は約40分で運賃が590円。全区間を通しで利用した場合は53分・750円だ。
乗車時間的にもちょっとしたボリュームがあって楽しい。1日7往復と本数はあまり多くないので、利用する際はバスの時間チェックをお忘れなく。
さて最後に、肝心の立久恵峡の読み方であるが、「たちくえきょう」が正解。これで立久恵峡も晴れて難読からすぐ読める地名に転身だ。
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