【バス運転士不足問題】車内の秩序維持やカスハラ対策には運転士に強い権限が必要……なのか!?

■カスハラは運転士の精神的な負担になる

ワンマンバスの運転士は何があっても終点まで輸送しなければならない責務がある
ワンマンバスの運転士は何があっても終点まで輸送しなければならない責務がある

 現在の法体系では民間事業者が自前で法執行機関を持つことは不可能だが、これだけ治安が悪いのだから法律を整備して何らかの形で限定的な司法警察権限を付与しても国民は文句を言わないだろう。

 犯罪の被疑者はもちろんだが、カスハラをする迷惑乗客に対しても運転士が拘束する権限があれば、その事実だけで理不尽なカスハラは減るだろう。

 実際に拘束するかどうかは別としても、その権限があるということが広く知ることになれば、警察官にカスハラをしているのと同じことなので、そんなリスクのあることをする人は確実に減る。

 鉄道公安官は手錠や特殊警棒を持っていたが、そこまでしなくても制服を着用して業務に就いている間限定で秩序維持のために司法警察権を付与するのは悪い話ではない。これは鉄道でもバスでも同じことだ。

■船長や機長と同様の権限があれば…

事業者のマニュアルだけでは対応は難しい面もある
事業者のマニュアルだけでは対応は難しい面もある

 法執行機関を組織することはできなくても、現行法でも警察官が駆け付けることのできない船舶では船長は自動的に特別司法警察職員に指定されているし、同様に航空機の機長には安全を阻害する乗客を拘束して降機させる命令権がある。

 陸上の交通機関の運輸職員にそのまま準用するのは難しい面もあるだろうが、カスハラの実効的な対策や運転士になる人材を確保するためにも、こうした制度は議論する余地はあるのではないだろうか。乗務員にも乗客にも安心で安全な使いやすい公共交通期間を再構築する必要があるのかもしれない。

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