■企業債という債券を発行する
交通局は赤字の補填を企業債という債券を発行して市場から調達する。決して税金で赤字を補填するわけではないのだ。市場から調達するのであれば、民間会社の社債と同じだが債務保証を東京都がしている分だけ有利(安い金利)に調達できることは間違いない。しかし借金は借金なので、支出の項目に企業債償還金が乗っかり返済をしている。
つまり運賃収入等で賄えない分は東京都交通局が市場から借金をしてまかない、返済しているのである。よって、冒頭のセリフに戻るが、交通局の職員(運転士)は、決して都民の税金で食っているのではない。
乗客から収受する運賃から支払われ、赤字部分は税金で補填するのではなく市場から調達(借金)して、車両を更新し、増備して運転士の賃金を支払っているのである。
■モノ知らずなカスハラは恥ずかしいだけ
今回はよく聞くカスハラ「事件」の一コマを取り上げたが、暴言や捨て台詞の中には、こうした誤りやモノ知らずな発言が多いのだ。だからと言って、「あんたの税金で食っとるんじゃないわい!」とは絶対に言えない運転士の心情も理解できるだろうか。
公務員とはいえ企業活動に従事する運転士は営業マンのようなものである。よって顧客からある程度の誤解からくる苦情や暴言は営業マンにとってつきものだ。しかし、それに対して言葉を返すことができないのも営業マンの常なのだ。
ましてや契約が欲しくて運転に従事しているのではない。乗車した瞬間に運送契約が成立して、運賃分の輸送をしているだけなのである。モノ知らずな暴言やカスハラ事件を起こすことだけは厳に慎みたいし、見ていて人間の器が知れる恥ずかしい行為であることを知るべきだ。今後も現役バス運転士から聞き取った現実の「事件」を継続してレポートする。
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