バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。前回はバスツアーの種類について紹介したが、今回は「御一行様」のお仕事について、実体験をもとにお話しする。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■記念すべき初御一行様の行き先は鎌倉!
まずは私自身の“初めての御一行様”のエピソードから。鎌倉は学生時代にも何度も訪れていた場所なのだが「御一行様で行く」となると話は別だ。歴史のある土地ゆえに、間違ったことは言えない。誘導ルートも気になるし、全体の流れも頭に入れておかないといけない。不安が勝ちすぎて、休日を使い下見に行くことにした。
行程は、長谷寺 → 高徳院(大仏)→ 御代川で昼食 → 鶴岡八幡宮というものだった。その中で、唯一行ったことがなかった長谷寺を重点的にチェックする。やはり現地に行ってみると、ガイドとして気づくことは段違いだ。
まずは、どこで説明するのがいいのか。次に、どんなお土産があるのか。最後に、お客様が興味を持ちそうなポイントはどこか。等々、机上ではわからない“リアル”が詰まっていた。
ちなみに長谷寺は、紫陽花で有名な「紫陽花寺」である。ご本尊は十一面観世音菩薩立像で、境内には「良縁地蔵」という可愛らしいお地蔵様が3体ある。
この3つすべてを見つけると良縁に恵まれるとも言われているので、訪れた際はぜひ探していただきたい。ちなみに、のほほんとした大きなお地蔵様は“和み地蔵”なのでお間違いなく。
さらに高台にあるため景色も良く、テラスで甘酒を飲みながらのんびり過ごすのもおすすめだ。こうして、下見を通して少しずつ「自分の言葉で話せる材料」を増やしていくのだ。
■まさかの“アレンジ歌唱”事件
初めての御一行様のお仕事だ。間違えたことは言えないが、でも、自分らしさも出したい。そんな思いから、イラストを描いたり、クイズを用意したりと準備も万端に整い、のはずだったのだが緊張のあまり前日は20時に就寝。
しかし、深夜に近隣の賑やかな音で目が覚め、そのまま寝られずで結果、出庫ギリギリまで勉強するという、なかなかハードなスタートに相成った。
そして迎えた本番当日。鎌倉へ向かう途中で横浜横須賀線を走行中に磯子地区を通過する。当地は美空ひばりさんの出身地だ。「これは…歌うしかない」と思い、この日のために練習していた「川の流れのように」を披露することに。
しかし、ここで重大な問題が発生した。音源がないのだ。よって音源なしのアカペラで歌う羽目になってしまった。途中から歌詞がわからなくなってきた。でもここで止めるわけにはいかない。なんとか無理矢理歌い切った。
結果は、お客様は大爆笑の渦に巻き込まれた。さらに飛んできた一言が、「アレンジが効いていいねぇ!」だ。たぶん、褒められてはいないな、というのは理解しつつも大恐縮だった。








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