普通乗用車では広く普及して年月が経つハイブリッド車。路線バス用の大型車にもハイブリッド式が存在するが、最近の全国的な台数の動向はどうなっているだろう。
文・写真(特記以外):中山修一
(ハイブリッドバスの写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■2023〜24年の全国ハイブリッドバス事情
初めて実用化したのが1991年と、ハイブリッドバスにも今や長い歴史がある。2025年現在のところ、新車で購入できるハイブリッド式のバス車両は、いすゞ/日野が発売している18mクラスの連節バスのみ。
いすゞ/日野ともに10.5mクラスの大型路線車(エルガ/ブルーリボン)にハイブリッド仕様を用意していたが、2024年に生産中止となった。
2024年までに各バス事業者へ納入された車両に加え、過去に登場した旧モデルのハイブリッドバスも継続して各地で使われている。
では、どれくらいの台数が全国で走っていて、都道府県別に見てハイブリッドが最も大所帯な場所はどこなのか。日本バス協会が発行している『日本のバス事業』の、2023-24年度版のデータを参考にチェックしてみよう。
■多数派か少数派か
2024年度のデータを見ると、全国に登録されているハイブリッド路線車の数は合計1,347台。23年は1,192台だったので、155台増加したことになる。
2024年のデータがまだないため、23年の数値をベースにするが、ディーゼル車を含めると全国には合わせて54,474台のバス車両があるそうだ。
1,192/54,474台となると、ハイブリッド車は全体の約2.2%。フラットに見て50台に1台あるかどうかなので、相対的には激レアな車ということになる。
ハイブリッド車はディーゼル車に比べて高価であるのと、整備に特別な設備が必要になる、現場の慣れの問題など、導入にあたってクリアすべき課題がたくさんあり、そこが普及へのボトルネックになっていると考えられる。
さらに、メーカーで連節バス以外のハイブリッドバス製造をやめているため、ものがない、という状況も新たに加わった形だ。
■最多は東京都、じゃないの?
続いて、都道府県別にハイブリッドバスの登録台数を見ていこう。TOP10までを抽出した結果は以下の通り。
(1)神奈川:379台
(2)東京:284台
(3)兵庫:84台
(4)京都:75台
(5)千葉、大阪:64台
(6)北海道:47台
(7)茨城、広島:43台
(8)宮城、長野、長崎:32台
(9)愛知:23台
(10)富山:21台
2年ほど前に確認した時点で、最も数が多かったのは「やはり」と言える東京都。ところが2024年度では意外や意外、過去2位だった神奈川県が全国1位に逆転。東京都とも数の差が顕著に現れている。
ちなみにハイブリッドバスが1台もないとされる場所は、青森、福島、秋田、群馬、新潟、石川、福井、滋賀、鳥取、徳島、香川、高知、佐賀、大分、宮崎、沖縄の16県だ。
■減ることもあるらしい
また、2023→24年度の間にハイブリッド車が減った/増えた台数のTOP3を書き出すと……
●減った台数の多いところ
(1)北海道:-20台
(2)福岡:-6台
(3)大阪、愛知:-1台
●増えた台数の多いところ
(1)神奈川:+86台
(2)兵庫:+55台
(3)長崎:+15台
となっていた。
数が減った方は、前述の通りハイブリッド式のバスにも既に長い歴史があり、比較的旧年式の車が老朽化で引退した可能性がある。
増えた方は神奈川県と兵庫県が大躍進した印象。神奈川県の場合、横浜市内を歩いていると、屋根にコブが2つ付いたハイブリッド車を突然良く見かけるようになったので、本当に数が増えていたのね、と納得してしまった。
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