「黄色いバス」といえば、アメリカならスクールバスになるが、日本では路線バス向けの車両に黄色の導入例がわりとあるらしい。そんな黄色いバスは一体どこで走っているのか、これまでに各地で見かけた3社の黄色いバスを紹介。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWebもしくはベストカーWebギャラリー内に各所で撮った黄色いバスの写真があります)
■黄色いバスの条件
黄色いバスがテーマの話はこれが第2回目になる。前回、ここでの「黄色いバス」のジャンルを設定するにあたって、ある程度の条件を決めて、さらに少し整理した。
・窓回りを除くボディの地色が黄一色。ツートンカラー以上は対象外
・黄色がそのバス事業者の「標準色」もしくは特定路線の「指定色/専用色」
・車体の一部に施す程度の飾り帯やワンポイントの図柄、社名ロゴの有無は不問
・乗合の路線バス(高速バス含む)であること
これらを踏まえて、前回まず筆頭格として挙げたのが、東京都の「はとバス」と、北海道の「十勝バス」だった。
■福山駅の「まわローズ」
今回は、各地を歩いていた際に見かけた黄色いバスを3種ピックアップしてみよう。まず紹介するのが、広島県の福山駅前で2023年2月に記録した「まわローズ」だ。
車種は短距離の循環バス等で広く使われる小型バスの日野ポンチョ。黄一色に塗られた車体に、バラのイラストと「まわローズ」と書かれたロゴが側面に飾られている。
愛称から循環バスを連想したくなるが、まさに「まわローズ」は循環バスの一種。JR福山駅とその周辺を、日中20分間隔で運転している。運賃は1回160円。
井笠バスが運行を受け持っており、井笠バスの乗合バスは白地ベースの車体色であるため、黄色のポンチョは「まわローズ」専用色といったところか。
車体は黄色ながらも、まわローズの路線名称は「青ルート」。「赤ルート」もあったが現在は運行を終了している。
■道の駅奥伊勢おおだいの「大台町営バス」
続いては2025年2月に、三重交通の長距離路線バス・松阪熊野線(現在は廃止)の休憩地点だった、三重県の道の駅「奥伊勢おおだいで」、三重交通のエルガハイブリッドの隣に並んだ黄色いバスより。
車種は左右に角目ライトを縦に2個ずつ配置した中型路線車いすゞエルガミオ。ほんの少し赤みを加えた黄一色の車体に、グリーンの飾り帯とご当地キャラクターのイラストが添えられている。
この黄色いバスは三重県多気郡の大台町が運営している「大台町営バス」の1台。幹線の廃止代替線と南海岸中心路線の2つが設定されていて、町内の各所を結んでいる。
運賃は300円均一。幹線の全区間を通しで乗ると距離約38km・所要時間1時間14分前後と、町営バスにして中々の健脚だ。
地元の貸切/乗合バス事業者のエス・パール交通による運行で、同社の貸切バス車両にも町営バスのカラーリングとほぼ同じものが多く、ここでは標準色の一種と言えそうだ。
■JR島田駅/大井川鐵道家山駅の「島田市コミュニティバス」
最後に注目するのが静岡県の黄色いバス。2022年11月にJR東海道本線の島田駅前のバス乗り場と、2018年4月に大井川鐵道大井川本線の家山駅前に停車中の様子をそれぞれ見かけた。
島田駅前のバスは角目2灯ライトを持つ中型路線車の日野ブルーリボンII、家山駅の1台は1995〜2011年頃まで製造された、汎用タイプの小型バス・日野リエッセだった。
いずれの車両も黄一色の車体に、パステル調のグリーンと青の飾り模様が側面に施され、前面に漢字で「島田市」の表記が入っている。
これら黄色いバスを運行するのが静岡県島田市。「島田市コミュニティバス」として6路線が設定されており、島田市内各所を結ぶ公共の足を担っている。
島田市コミュニティバスは県内の民営バス事業者・しずてつジャストラインが委託運行をしている。同社の標準色である薄クリーム色ベースのカラーリングとは異なるため、黄色い島田市のコミバスは特定路線の指定色と考えて良さそうだ。
今回の3社の黄色いバスは、どれも地域の足を支えるコミュニティバスの性質を持っている印象。黄色は目立つほか親しみやすさもあり、もしかするとコミバス系に好まれるカラーリングなのかも。今後また種類が集まったら追って紹介していきたい。
【画像ギャラリー】全国黄色いバス図録〜静岡県・三重県・広島県〜(9枚)画像ギャラリー
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