2025年8月3日、広島の路面電車は大きな変貌を遂げた。かねてより建設が進められていた駅前大橋ルートが完成、広島駅2階へ電車が直接乗り入れる形へ変更されたのだ。この変更により、1912年の開業以来使われてきた従来のルートは廃止され、路面電車の地上ホームも姿を消すことになった。このニュースは大きく報道され、開業直後は多くのファンでにぎわいを見せた。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、広島駅バス乗り場観察の現地撮影写真があります)
■一足先に新しくなったバス乗り場
ただ、変わったのは路面電車だけではない。広島駅には北口と南口があり、それぞれにバス乗り場が整備されている。
このうち路面電車が乗り入れる南口側のバス乗り場は、駅ターミナルに直結する形で建設された、商業施設直下に建設された。
新しい南口バス乗り場は路面電車よりも一足早く、2024年6月から運用を開始している。以前のバス乗り場は駅前に位置していたものの、駅舎からは完全に分離していたが、新しくなったバス乗り場はビルの直下にあり、雨の日でも濡れる心配はない。
ただしバス乗り場自体は現在も工事中で、暫定的な開業となっている。駅前通りからバス乗り場へのバス進入路は1カ所のみとなっており、入口からターミナル内へ進入したバスは、そのまま構内をぐるりと1周して同じ場所からターミナル外へ出ていく。
しかし、最終的な計画では入口と出口は別々に設けられる形となり、バスは入口から入った後は向きを変えることなく、そのまま出口へ向かう構造となる。
出口が設けられる予定の場所は、かつての路面電車ホームがあった場所であるため、これらの撤去が完了しなければ出口を設けることはできないが、使われなくなった路面電車設備がすべて撤去されれば、バスターミナルの整備も進むことだろう。
■新車から中古車まで色々な車種が見られる
さて、そんな暫定開業状態のバスターミナル出入口付近に立って、バスを観察してみた。広島駅南口バス乗り場へ乗り入れてくるのは、市内に運行される路線バスばかりだ。
広電バス、広島バス、広島交通、JRバス中国の4社が、この南口バス停内へ乗り入れており、芸陽バスは南口側に面した駅前通りに設けられたバス停に止まるため、駅構内の停留所へは入ってこない。
その他、ごく一部の高速路線バスも発着するようだが、これらも駅構内まで乗り入れず、通りに面した停留所に止まる。
車両趣味的な視点で見れば、基本的にはエルガなど現行型の路線車が中心となっているが、すでにメーカーが消滅した西工ボディの車両を多く見かけたのが印象的だった。
とりわけ、広島交通には古い車両が比較的多く残っており、他の都市では見かけなくなった車両もいくつか見られた。
特徴的な車両を挙げていくと、まずは超希少となった西工58MCボディを架装した、1996年製の三菱ふそうエアロスターKC-MP617Pだ。
車体もかなり希少だが、MP617ということは初代エアロスターと同じ世代ということで、まもなく30年を迎える超古豪だ。6D24型直列6気筒エンジンの音が何とも懐かしい。
ノンステップバスのはしりとなった、三菱ふそうエアロスターKL-MP37JKもまだ現役で、この日見掛けた車両は、元を辿れば東急バスで使っていたものだ。
東急は筆者の地元だけに、こんな遠く離れた場所で第二の人生を送っている車両に出会えて感激をしてしまった。
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