■レンタカー
いずれにせよ、免許とナンバーは完全にリンクするものではなく、さらに有償か無償かを問わず例外規定も多く存在することから、白ナンバー即(いわゆる違法の)白バスかといえばそうでもないのが実情だ。ただしレンタカーについては、レンタカーという車両そのものがrent a car(貸す車)のため、それ自体がレンタカー事業という立派な事業なのである。
よってレンタカーで事業用ナンバーはあり得ないし、ましてや借主がたとえ正規のバス事業者であったとしても自社の旅客運送事業として登録した旅客車ではないため、運賃を取ることはできないのである。このあたりの定義や法令上の区分をよく知らずに議論されることから結論の出ない空論になってしまうのである。
これについては、テレビのワイドショーで無責任なコメンテーターが専門家の知見を出さずにいい加減な議論のまま情報を垂れ流すので、国民一般がさらに混乱するもとになっているのは否めない事実だろう。
■運賃とは?
法律上、運賃とは契約に基づく運送の対価と述べたが、これさえ知っておけばやれ「燃料代をもらったら?」とか「弁当代をもらったら?」とか「交通費をもらったら?」とか個別具体的な重箱の隅を突っつく議論にはならない。旅客または貨物をここからここまで運送するために対距離や時間に基づいて決められた運賃を支払う契約をかわせば運賃を取ることになるのだから話は簡単だ。
であれば、燃料代名目で支払えばセーフとかいう単純な話ではなく、それを違法の疑いありとして摘発するのは法執行機関であり、燃料代名目とはしているがそれは社会通念上に照らして実質的な運賃である等の判断をするのは司法機関であることには注意を要する。
しかしながら、普段我々が利用している路線バスにおいてバス事業者と運送契約書なんか交わしていないし、そんな契約をした覚えはないというかもしれないが、民法上は契約とは申し込みと承諾により成立するものとされており、書面で交わすことを必ずしも要求していない。
「口約束も契約のうち」とはある意味においては事実であり、立派な法律行為である。バスの場合はバスに乗ろうとバス停に立って待っている段階で、旅客側が運送の申し込みをしたものとみなされる。流しのタクシーの場合は手を挙げたときだろうか。
そして、運転士がそれを認識してバスを停車させ、ドア扱いをして乗客を乗せた瞬間にバス事業者として申し込みを承諾、つまり契約が成立したことになる。運賃支払いの後先とは無関係である。
これらはバスでも鉄道でも同じで運ぶ対価のことを運賃、それ以外の対価を料金という。運賃には普通旅客運賃や定期旅客運賃、回数旅客運賃等があり、すべては運ぶだけの対価である。一方で特急料金や特別車両料金や寝台料金は運ぶこと以外に付随する料金である。
■物事は冷静に…
以上のようなことから総合して考えると、ワイドショーで語られる「レンタカーだった件」「運転者が二種免許を持っていなかった件」「金銭の授受の名目や支払いの後先の件」それぞれは単独で事実なのだろうが、それらがすべてリンクして「合法」か「違法」かという判断はできないのであって、すべてはそれぞれを規定する法令によって判断され罪となるべき事実があれば処断されることなのである。
またそれらの個別の事件に対して違法の疑いがあるかどうかは法執行機関や所管の行政機関が判断し、法律上の責任の所在を確定させるのは司法機関であることを忘れてはならないだろう。あってはならない痛ましい事件ではあるものの、正しい知見に基づいて議論したいものである。
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